コラム・エッセイ
春の終わり
随想 猫の目 吉原 雍《世の中は 3日見ぬ間の 桜かな》
と言う俳句は、江戸時代の有名な俳人、大島蓼太(りょうた)の名作。
桜は3日見ないでいたらもう満開、また3日見ないでいたらもう散って終わり。世の中は桜みたいに目まぐるしく移ろうものだ…。
たしかに風雲急を告げる昨今の極東情勢などを見れば、3日どころか一寸先の世の中だってわからない。
この俳句のすごさは桜にことよせて、そんな人の世の真実を300年昔に見抜いていること。
もう一つ、こんな和歌もある。
《世の中に 絶えて桜のなかりせば 春の心は のどけからまし》
江戸よりもっと前の平安時代、古今和歌集で有名な在原業平の作品。
今日か明日かと気をもませてやっと咲いたら、もう春雨に打たれて散ってゆく、いっそ桜がなかったら、春はもっとのどかなのに…。
どこかから雅楽の調べが流れてきそうな、千年昔の日本ならではの春の歌♪
それに引きかえ、近年の春は地球温暖化のおかげで天候不順続き。人の世も人の心もとげとげしくなった。
こんな現代にこそ、のどかに桜をめでる心の余裕がほしいものだが、ムリかな。
《一触即発》
と言うのも、最近は花より団子というか、こらえ性のない、好戦的で攻撃的な政治家や大衆が増えた気がするから。
失礼を承知で言うなら例えばアメリカ、北朝鮮、中国、ロシア、シリア、そして仏独伊西などの過激右派…彼らがカッとなって戦争を始めるかもしれない。
特にアメリカと北朝鮮は一触即発のチキンレースの真っただ中‼
日本外交ガンバレ、桜散らすな‼
《ボスニアの桜》
ちょっといい話。10数年前から旧ユーゴのボスニア・ヘルツェゴビナに桜の苗木を贈っている小さなボランティア団体がある。
先日出かけた知人によれば「久しぶりのボスニアはビルが増え、電車が走ってびっくりした。平和になって良かった♪」
桜の写真も見せてもらった。内戦の犠牲者の白い墓標がズラリと並んだ郊外の墓地。その周辺に植えた桜が大きく育ってきれいな花が満開。
桜は平和の花♪
《義兄逝く》
骨壺を抱えて地下室に入ったおいが出てきて「お袋の横にピッタリくっつけてきたよ」と言ったら皆が優しく笑った。
5年前に先立った僕の姉と、またどうぞ仲良くお過すごしくださいね。
お土産の皿に義兄の句が焼きつけてあった。
『原爆忌
負いし傷跡
六十年 茂久』
10年前の作と思われる。
合掌
《最後に三匹の猫》
4月30日まで「萩焼・ガラス・うつわ・三人展」開催中🎶
(ギャラリー三匹の猫)
