2026年05月28日(木)

コラム・エッセイ

おめでとう、白鵬夏場所優勝

随想 猫の目 吉原 雍

 《1年ぶり38回目》

 白鵬は表彰式の壇上で両腕を広げ「ただいま、帰ってきました!!」と叫んだ。

 (一番強いのは自分なのに、一年間も優勝せずすみませんでした)。

 口では言えない万感の思いがにじんでいるみたいで僕はジンときた。

 《心の傷》

 この1年、彼はケガで2場所も休場し、優勝もできなかった。白鵬時代はもう終わったと言う人もいた。

 だが、体のケガ以上に彼を苦しめたのは心の傷だったのではと、僕は想像している。

 「日本人横綱待望論」という奇妙な愛国心に火をつけて、マスコミが「そこのけ、そこのけ、稀勢の里が通る」的な大応援をしたアレ。

 まるで幕末の攘夷(異人排斥)運動みたいで、白鵬も「(稀勢の里に)勝つわけにはいかないからいっそ休場しようか」と、忖度(そんたく)したかもね。

 「俺たち外人はいくらがんばってもしょせん使い捨て、単なる場つなぎでしかない」と落胆したかもね。

 この10年間、白鵬たち外人力士が日本の大相撲を支えてきたことは、誰でもわかっているはずだったのに!!

 《若手に期待》

 白鵬は「最近の相撲界をどう思うか」と聞かれ「(新横綱稀勢の里には触れないで)若い人がどんどん強くなってきてうれしい」と答えた。

 「特に関脇・高安(たかやす)は自分も昔からけいこをつけてきたからうれしい。いよいよ大関、次は横綱だね。

彼のお母さんはフィリピン人だからね、フィリピンの皆さんも、おめでとう」

 これには伏線がある。実はこの1年「稀勢の里・横綱待望論」と並んで「高安・大関待望論」もすごかった。

 しかもこの2人は同部屋で、白鵬もちょくちょく出げいこに行って胸を貸してやる関係。

 ただ稀勢の里は「一丁どうだ」と声をかけても、やりたがらなかったらしい。

 一方の高安は「お願いします」とガンガン向かってきて鍛えがいがあったし、聞けばフィリピン二世という。

 白鵬が相撲界の将来を、外人力士系の実力派・高安に託したくなる気持ちがわかるね♪

 大相撲は国籍にこだわらず、明るくて健康的な国際的なスポーツ兼日本の伝統国技として、ますます発展してもらいたいものだ。

 《世界や国が分断される》

 それに関連して思い起こすのは、路線の違いで世界や国が分断されそうな最近の政治の不安定さ。米英ロ中仏韓日、北朝鮮どこも皆!!誰かいい知恵を出して!!

 《最後に三匹の猫》

 6月2日から「藤永俊雄遺作小品展」。胸にしみる素敵な作品の数々♪

(ギャラリー三匹の猫)

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