2026年05月28日(木)

コラム・エッセイ

思い出す両親のこと

随想 猫の目 吉原 雍

 《歌人・与謝野鉄幹》

 詳細は省くが、明治、大正、昭和の歌人、与謝野鉄幹は、17歳から20歳までの四年間、徳山に住んでいた。

 徳山を離れてからも時々来たようだが、最後に来たのは亡くなる前年の昭和9年3月、63歳の時だった。

 《徳山鉄板の社歌》

 その時、鉄幹は櫛ケ浜の奈切にあった徳山鉄板(現・日新製鋼)の社歌を作りに来たというから面白い🎶

 余談だが、徳山鉄板は大正5年ごろから稼働していて、昭和3年、徳山鉄板㈱の名で設立、東京と大阪の株式市場に上場された。

 実は僕の父は長く徳山鉄板に勤めていて、鉄幹が訪れた昭和9年は34歳くらいだった。

 当然、社歌や鉄幹のことも覚えていたはずで、聞いておけば良かったが聞き洩らした、残念。

 《周南映画祭》

 そんな話を思い出したのは先日の周南映画祭に与謝野晶子(鉄幹の妻)の恋を描いた作品が上映されたから。

 あの夫婦は子どもを12人も作ったが、互いに自由奔放な恋愛もした。今なら連日マスコミで騒がれただろう。

 その話は別の機会に譲るとして、鉄幹が昭和九年、鉄板の社歌を作りに来た時、太華山頂から徳山湾を見下ろして詠んだ歌がいい。

 彼のあたり 

 二十の前の 

 我を知る 

 蛇島 仙島 黒髪の島🎶

 《沼城小学校100年史》

 戦争が近づくあの時代らしからぬ歌で、さすがは大歌人♪と思いながら、何か資料はないか、父の本箱を探してみた。

 だが、目ぼしいものはなくて、代わりに「沼城小学校100年史」という数十年前の印刷物が目に留まった。

 須々万の沼城がどうしたの?と思いつつめくると「第十代校長 中川敏亀」と、母の父(僕の祖父)の顔写真が載っていてびっくり。

 胸騒ぎがしてさらにめくると母も出てきて二度びっくり。「昭和2年 訓導 中川八重」🎶(昔は教師を訓導と言った)

 母が下松の小学校で教師をしていたころ、生徒を引率して歩く姿を父が遠くから見て(お見合い)、結婚を決めたと聞いていたが、沼城小でも教えていたんだね🎶

 余談だが、父の家も教師が多くて、祖父なども維新後は熊毛で校長をしたらしい。

 《それにしても、昭和九年ごろは》

 日本が満州・上海事変、五・一五事件、国際連盟脱退、満州国設立など好き勝手にやったころ。

 国内では日ごと思想や経済の統制、弾圧を強化し、世界の中で孤立を深めた時代だった。  

 どこか今も似ていないか‼

 《最後に三匹の猫》

 18日まで「藤永俊雄遺作小品展」開催中。胸にしみじみと響く数々の作品🎶

(ギャラリー三匹の猫)

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