2024年03月29日(金)

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秋の叙勲 地方自治、教育、林業、スポーツ 長年の活躍たたえ、周南から7人

  • 熊野茂公さん(87)

  • 松田富雄さん(75)

  • 野田忠義さん(77)

  • 林正子さん(86)

 秋の叙勲の受章者が3日発表された。全国で4100人、県内は71人。周南、下松、光市は7人で、旭日双光章を元大和町長の熊野茂公さん(87)=光市=▽県森林組合連合会理事で周南森林組合組合長の松田富雄さん(75)=周南市▽旭日単光章を元県サッカー協会会長の野田忠義さん(77)=下松市=▽瑞宝小綬章を元下松工校長の藤井博明さん(70)=周南市=▽瑞宝双光章を元大河内幼稚園長の林正子さん(70)=周南市=▽瑞宝単光章を特別養護老人ホーム「光富士白苑」の介護職の広田知子さん(57)=光市=▽元法務教官の藤井悟さん(62)=周南市=が受章する。

■旭日双光章 医療と福祉のまちづくりを 元大和町長 熊野茂公さん(87)

 光市と合併前の旧大和村、大和町に18歳から71歳まで53年間、助役の3期9年、町長の2期7年を含めて勤務した。叙勲に「身に余る光栄。いつまでも〝住んでよかった〟といえる地域づくりを進めてほしい」と後進に期待を寄せる。

 塩田出身で、当時の大和村役場には田布施農高(現田布施農工高)を卒業して採用された。町民課長や総務課長を経験し、同郷の故轟渡(とどろき・わたる)町長の指名で1987年に助役に就任。束荷出身の初代内閣総理大臣、伊藤博文公の生誕150周年記念事業や、塩田小体育館建設などに手腕を発揮した。

 轟町長の後任の町長に就任後は、町立大和総合病院(現光市立大和総合病院)の増改築、老人保健施設ナイスケアまほろばの開設など、合併後の現在にも続く医療と福祉のまちづくりに力を注いだ。

 2期目後半は光市との合併協議に力を入れて、合併協議会では副会長として会長の末岡泰義光市長(当時)を補佐する一方、町内17カ所で町民向けの合併説明会を開いて、町民本位の円滑な合併協議に尽力した。

 2004年の合併時は市長選で当選者が決まるまでの約1カ月、市長職務執行者を務めて行政の継続に役割を果たした。

 合併後は町職員出身者が市の部長や課長に多く起用され、最近では2人続けて町職員出身者が市長秘書に抜擢された上、財政運営の実務的な大元締めの財政課長にも就任していることに目を細めている。

 後進には「市民の声を大切に、それをヒントに温かい行政を進めてほしい」と期待を寄せる。

■旭日双光章 「山を守る」、林業振興33年 周南森林組合組合長 松田富雄さん(75)

 材木の価格の低迷などで苦境が続く林業だが、地元の和田地区は床柱に使われる和田丸太の産地で、林業は昔から主要産業の一つだった。農業と林業を営んでいたが1987年に新南陽市森林組合の理事に就任し、90年から組合長。

 97年に合併で周南森林組合に発展させ、理事を経て2000年から組合長。同時に県森林組合連合会、やまぐち森林担い手財団の理事に就任して地域林業振興に貢献している。

 周南森林組合は周南市と下松市がエリア。作業班の40人で森林を守っている。最近ではIT技術を駆使した作業の効率化を進め、県森林組合連合会では森林バイオマスエネルギーの活用推進、人材育成、木材の安定供給体制の確立にも取り組む。

 「中山間地の過疎化で山を守る人が少なくなっている。災害を防ぐためにも山を守らなければならないが、〝山離れ〟は難しい問題」と話す。その中で24年度から国民1人当たり1千円の森林環境税の徴収が始まる。集まった森林環境税は市町村に配分され、森林整備などに生かされる。「森林組合もそのお手伝いをしたい」と期待する。

 和田地区では広島カープで活躍した津田恒美投手の顕彰会長を引き受けて津田恒美杯少年野球大会の開催や津田投手の記念碑の建立などにも尽力してきた。

■旭日単光章 国体成功やレノファ設立 元県サッカー協会会長 野田忠義さん(77)

 出身地の大分市の中学時代に打ち込み始めたサッカーが、その後の人生を決めた。叙勲に「私一人でいただけるものではない。お世話になった皆さんの代表としていただく気持ち」と笑顔を見せる。

 中学時代は最初は野球部にいたが、母親に作ってもらったユニホームを、うらやましがる先輩に奪われたことで「もう野球はいい。足が速いからサッカーにしよう」と転部。大分工高時代もサッカーを続けたが、就職を内定していた三井化学から日立製作所に変えたことで、下松市の日立製作所笠戸工場(現笠戸事業所)でサッカーを続けることになった。

 日立笠戸サッカー部に所属。小学生を対象に創設した「豊井カップ」サッカー大会は後の「下松カップ」に発展した。

 豊井サッカースポーツ少年団の監督も務め、最盛期は118人もの団員がいた。その〝教え子〟たちは今でも街で出会うと「監督!」と話しかけてくれるという。

 そうした活動を支えてくれたのは妻で「休日はいつもサッカーの指導で家を空けてばかり。家族には申し訳なかったが、その理解があったから勲章をいただけた」と感謝の気持ちを忘れない。

 県サッカーリーグの創設に尽力したことでJリーグチーム「レノファ山口」の設立につなげたり、県サッカー協会長、山口国体のサッカー競技運営の統括責任者を務めて国体の成功につなげ、県のサッカー史に大きな足跡を残した。

 次の世代には「立派な指導者をたくさん産むことでスポーツのすそ野を広げ、振興に尽力してほしい」と期待する。

■瑞宝双光章 子どもの成長を見守って60年 元大河内幼稚園園長 林正子さん(86)

 周南市大河内の大河内幼稚園に1954年の創立と同時に教諭として赴任。以来、地域の子どもたちの成長を支え見守ってきた。受章に「身に余る光栄。自分だけの力でなく、保護者や地域の方々の協力のおかげで、感謝の気持ちでいっぱい」と喜ぶ。

 1979年に園長就任時は園児の数が18人ほどで存続にも苦労したと語る。82年に学校法人にして県からの運営補助金で経営を安定させたことが職員の待遇改善と園児用遊具などの充実にもつながった。近隣に団地や住宅地ができたことと相まって園児も増加。現在は150人ほどが通う。2017年に園長を退き、林貴美子園長が就任、現在は相談役として同園を見守る。

 60年間で教えた園児は2千人以上。子どもの個性を大切にしほめて伸ばすことを第一に考えた。体育遊び、英語遊び、音楽遊びなど、遊びの中で学べるよう専門講師の授業を開いて園児の感性や創造力を養った。園児の描いた絵は世界児童画展でも入賞した。

 県私立幼稚園協会の地区研修委員として1987年から17年間、県内の幼稚園の園長や職員に向けた研修の企画や提案で幼稚園の教員の資質向上に尽力した。

 幼年消防クラブを結成して消防署と合同の防火餅つき大会を開き、「社会を明るくする運動」に協力し保護司から園児が話しを聞く場を設けるなど幼稚園全体で地域の安心と安全に取り組んできた。老人福祉施設への慰問などで世代を超えた交流を図っている。

 同園の教員には常に「親の心で愛情をもって育てる」よう助言。これからも「地域の子どもの成長と自立を助け、立派な社会を築いていけるよう力を尽くしたい」と意欲は衰えていない。

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