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経済 : 周南市のニュース
重永さんは〝メー(お母さん)〞ラオス出身のスパッターさん徳山大卒業 留学中の1年半を支える
経済周南市周南西ロータリークラブ(檜垣康彦会長)が1年半にわたり交流を深めてきたラオス出身の留学生、チャンタヴォン・スパッターさん(22)が9月に、4年間学んだ徳山大学を晴れて卒業した。スパッターさんは11月に帰国し、イギリスかフィンランドの大学院進学を目指してさらに勉強を続ける。
同クラブとの出会いは、外国人留学生を支援するロータリー米山記念奨学会によるスパッターさんへの奨学金の支給がきっかけ。奨学金は日本全国のロータリークラブ会員の寄付金が財源で、支給が始まった2019年4月から同クラブは、地元で頑張るスパッターさんの世話クラブを務めた。
スパッターさんはラオス中南部のサワンナケート県出身。東をベトナム、西をタイと国境を接する交通の要衝で90万人以上が住む。地元の学校図書館で日本語の絵本を手に取ったことで日本への関心が芽生え、知人が同大の卒業生だったことから留学を決めた。
2016年10月に入学し、福祉情報学部で教育心理学を専攻。専攻理由はラオス国内の教育状況を変えたいという思いからだ。ラオスの子どもは6歳から14歳までが義務教育期間だが、そのうち20%ほどが学校に通っておらず、ほとんどが女子だという。地域での教育意識の違い、経済的な理由など様々だが、スパッターさんはラオスの子供たちが平等に教育の機会を与えられて、勉強できる環境を整えることが国を豊かにすると考える。ゆくゆくは、自分で学校を作るのが夢だ。
周南市で暮らすスパッターさんを支えたのは、同クラブのカウンセラー、重永つゆ子さん(72)。正月の晴れ着や餅つき、リンゴ狩りや相撲観戦など日本、山口県ならではの文化に親しんでもらおうと様々なイベントにスパッターさんを誘い、同クラブを挙げて交流を深めてきた。
内陸国ラオスのスパッターさんが一番好きなのは海での魚釣りで、サバ、アジ、タイ、ヒラメの大物を釣り上げたのが思い出深いという。ラオス語でお母さんを表す「メー」と呼び、重永さんを慕う。
スパッターさんは「初めての1人暮らしで、異文化に毎日触れる環境はワクワクしてとても楽しかった」と振り返り、「周南西ロータリークラブの皆さんは優しくて親切。出会えたことに感謝したい」と別れを惜しんだ。
重永さんは、「彼女が夢を持ち頑張っている時期に関わり、1年半を一緒に過ごせてとてもうれしい。心と心の結びつきを感じることができカウンセラーをして良かった。帰国後も目標をもって勉強を続ける彼女を、ずっと応援していく」と新たな門出を祝った。
同クラブの広報委員長の松原健一郎さん(79)は「日本で頑張るスパッターさんと接することで、我々会員もとても勉強になった。こちらこそありがとうと言いたい」と話した。