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110番 : 周南市のニュース
懲役10カ月執行猶予3年 認知症老人に暴行 介護施設の元責任者
110番周南市山口県周南市の山口地裁周南支部(奥山浩平裁判官)は11月30日、周南市久米の高齢者・障害者共同住宅を運営する介護施設の元責任者で利用者への暴行罪に問われた片岡加寿子被告(60)に対し、懲役10か月、執行猶予3年の判決を言い渡した。
この事件は、8月23、25両日に、同共同住宅内で片岡被告が被害者で同所に入居中の利用者の女性(当時85歳)の両目、口部それぞれにガムテープを張りつける暴行を加えたもの。
被害者が認知症の影響で両手をなめて唾液がついた手で顔面などをマッサージするなどを繰り返す行為を防ぐために、片岡被告が被害者の両手に手袋の介護ミトンをはめて固定し、さらにこの介護ミトンを外そうとする被害者に暴行を加えるなどの犯行に及んだ。
判決の理由で奥山裁判官は「被害者は暴行により長時間にわたって声を出せず精神的苦痛が大きい。片岡被告が認知症の被害者への対処に医師や外部機関、介護士などに相談することなく独断で本犯行に及んだことは安易で、介護職の信頼を損ねた」と述べた。
片岡被告は犯行を認め、現在、介護事業は廃業しており、再犯の恐れが少ないこと、片岡被告に前科の前歴がないことや、家族が片岡被告の更生に協力するなどの事情から執行猶予3年とした。
周南市地域福祉課はこの施設から虐待について相談も受けていたが、虐待を防げなかったことに対し、山本孝二課長は「庁内をはじめ、県や医師会、警察、弁護士などの関係部署と虐待防止の取り組みやネットワーク会議をさらに強化して情報を共有していく」と話した。