2026年05月26日(火)

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周南市体協の管理委託排除! 20年間私企業に丸投げ 市民の反発必至?

  • 問題が浮上した周南緑地公園

 山口県周南市の周南市体育協会(黒神直大会長)がキリンビバレッジ周南総合スポーツセンター、市野球場、庭球場などがある周南緑地公園と園内の施設の指定管理者としての管理を2023年度以降は、続けられなくなった。同公園に公民連携(PFI)手法が導入されるためだが、同協会は民間の公益財団法人で、野球連盟やスポーツ少年団など35の連盟で構成され、前身の徳山市体育協会時代の1982年から40年間、同公園のスポーツ施設を一括して管理、運営し、全国大会などの誘致でも大きな功績をあげ、競技団体からも信頼されてきた。PFI導入の2023年度以降どうなるのか、私企業に広大な緑地公園の整備、管理、運営を全て丸投げするPFIを推進する市の姿勢が問われそうだ。

「民間の活力活かす」基本計画? 策定会社は全国的に指名停止中

 同協会が管理・運営できなくなったことは20日に開かれた同法人の理事会、24日の評議員会で報告された。周南市の方針では、PFI事業を導入して選ばれた事業者に19年間にわたって管理などをまかせる。このため、同協会は周南緑地公園以外の指定管理と緑地公園内の施設を使った全国大会などの利用調整の業務だけを引き受けることになる。

 周南緑地公園は昭和30年代から40年代にかけて緩衝緑地として整備され、広さは体育施設がある中央緑地と東緑地だけでも53ヘクタール。体育施設だけで年間の利用者は50万人以上、公園利用者も含めると100万人の利用がある。一方で施設の老朽化や周辺の人口減少などの課題がある。

 PFIの導入は2019、20年度と調査・検討。導入は可能として21年度に「周南緑地基本計画」の策定とPFIアドバイザリー事業を内容とする「周南緑地施設整備等総合支援業務」に携わる企業を公募したところ3社の応募があり、プロポーザル方式で審査して、建設コンサルタントなどのパシフィックコンサルタンツ山口事務所が選ばれた。

 同社は、富山県で富山市発注の設計業務をめぐり、公契約関係競売入札妨害の容疑で社員から逮捕者を出し、山口県に続いて、周南市でも3月から8月31日まで指名停止を受け、現在も指名停止中。社会的に問題を起こすような企業に「全権依頼」する周南市の体質も問われる可能性もある。計画作成に4千万円以上がコンサルタント料として市民の税金が使われた。

 計画策定業務は21年度の1年間。改定案は23日まで市民から意見を聞くパブリックコメントを実施し、4月にも策定を終える。計画期間は20年間。基本理念に「スポーツとともにまちの魅力を高め豊かさを育むアメニティパーク」を掲げている。

 施設面では屋内25メートルプールの新設▽陸上競技場の全天候型舗装の敷設やフィールドの人工芝敷設、写真判定機の新設▽総合スポーツセンターの施設照明のLED化、外壁改修、屋根の防水改修▽サッカー場の人工芝敷設と全天候型舗装の敷設、観覧スタンドの新設▽防災対策としてマンホールトイレ設置▽550台分の駐車場整備などを盛り込んでいる。

 運営面では「民間の活力・ノウハウを活かした魅力ある公園づくり」を掲げ、指定管理者制度やPFI手法、事業者が許可を得て地代を支払って自前の施設を建てる「公募設置管理制度」や「設置管理許可制度」の活用も取り入れる。

4年間で温水プールなど整備

 PFIアドバイザリー事業は22年度までの2年間で、施設整備の手法、整備内容、事業者選定方式の検討、応募する事業者があるかどうかの調査、整備スケジュールの検討などに市とともに取り組んでいる。

 市は体育施設の指定管理を導入してから22年度までの17年間は、非公募で市体育協会を指定管理者に指定し、周南緑地公園だけでなく、市内のすべてのスポーツ施設の管理を市体育協会が引き受けてきた。

 ところがPFIでは、現在の方針では23年度から19年間にわたって周南緑地公園の管理などは公募して選ばれた共同企業体が作る、本社を市内に置く特定目的会社(SPC)が担う。

 この会社は自身の資金で受託から4年間に基本計画にある温水プールを建設し、陸上競技場の改修などを完成させ、15年間、維持管理を担当する。市は共同体の公募、選定にあたって地元業者の活用も求めるというが、「公募」は導入のために欠かせない条件という。

 市のメリットとしては、4年間という短期間で必要な施設整備ができる▽施設の建設費などと管理費をサービスの対価として19年間に分散して支払うため、負担を平準化できる▽経費全体も市が直接、整備するのに比べて2%圧縮できると試算していることをあげ、民間ならではのサービスの向上や、PFIの導入は国が推進しているため、国の補助への期待もあるという。

地元の「民間活力」どこへ

 体育協会に指定管理者から外すと伝えられたのは昨年6月。それから話し合いを重ねてきたが、市の決定をくつがえすことはできず、かといって市体育協会が民間事業者に加わって共同企業体の公募に応じた場合、選ばれない可能性もある。

 大会の誘致・運営や稼働率でも全国的にも誇れる実績をあげていただけに、なぜ管理を継続できないのか、疑問は大きいが「体育協会がこれまで要望していた水泳場や陸上競技場、サッカー場などの大規模改修ができなくなる」とまで言われて、今年2月に受け入れに応じたという。

 このため、周南緑地公園と園内の施設の整備、管理は新たな民間事業者に委ねるが、利用調整だけは引き受けて競技団体に迷惑をかけない形を目指す。

 黒神会長は「慎重にことを進めてほしかった。もうちょっと競技団体など利用者に不安をあたえない進め方ができればよかった。これまで通りの利用ができるのか、市と体育協会、管理を引き受ける新会社の3者で協力したい」と話し、新しい「周南方式」を目指して市との協議を続けている。

 同協会としてはスポーツ振興に今以上に力を入れ、同公園以外の新南陽、熊毛、鹿野地区などの運動施設の管理は続ける。事務所も現在と同様、総合スポーツセンター内に置くことができる。

 市体育協会の職員は67人いて、そのうち26人が周南緑地内の体育施設の管理を担当しているが、職員削減となった場合の就職先の確保なども今後の課題として残る。

市議会は特別委設置

 市議会は3月定例会で周南緑地体育施設整備に関する調査特別委員会(田村勇一委員長)を設置した。今後、執行部に説明を求める。

 市は4月にもPFIの応募事業者に対する要求水準書を策定、公表し、夏ごろの公募を目指す。公募のためには20年間にわたる支出の裏付けとなる債務負担行為として予算化する必要があり、議会はこれも審議する。選ばれた企業体との契約議案も議会に提出される。

 PFIは全国で導入が進み、国も推進し、周南市内でも新南陽学校給食センターがPFIで建設、運営されている。ただ、今回のような大規模なPFI事業は大都市や都道府県が多く、中小の自治体ではあまり例がないといわれている。

 「民間活力」を活かすはずの施策が、数十年積み重ねてきた地元の民間活力を奪ってしまうことにもなりかねない今回のPFI事業。市議会がどう判断するか注目される。

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