コラム「一言進言」
若者流出は大きな課題だ
〜学ぶところをどう増やせるか?〜
□ひと昔前、田舎の自治体は「雇用を増やす」がスローガンだった。一般の人は「田舎に帰っても仕事がない」が言い草だった。首長がハローワークと一緒に企業を訪ねて雇用を増やして下さいと頼んでいると聞いた。訪問された企業の社長は、ずーっと求人を出しているが人が来ないんです、と訴えたそうだ。有効求人倍率が1.5ていどもあるなど、雇用を増やす以前に、人手不足で経営がおかしくなるところが増えている。
□ここ、周南地区は、全国の地方都市と同様、若者の流出が顕著だ。周南市は毎年千人も人口が減少している。若者は1度出てしまうとなかなか帰ってこない。特に女性の流出が激しい。なぜか、将来のために学びたい学校が少ないからだ。
□今度、下松市に歯科衛生士の専門学校が進出する。若者を引き留めるのに役立つに違いない。特に女性が学ぶ場所の誕生は、最近では朗報だ。
□公立高校の統廃合が進んでいる。それに対して3市の取り組みは何もない。今こそ県に、統廃合受け入れの条件として、若者が地元に定着できる学科新設を訴えるべきだろう。市川光市長が提案したが、いま一つ県の動きがない。
□最近、夜のコンビニエンスストアや居酒屋で顕著なのが、アジア系の留学生のアルバイトだ。留学生たちが、日本の若者に変わって活躍している。いずれ本国に帰る若者たちだ。居酒屋もそうだ。片言のベトナムからの留学生。ネパールからの留学生などで何とか経営を続けている。日本の若者が急激に減少している証拠だ。
□高齢化が急速に進む地方都市の大きな課題は、看護師や介護士不足への対応だ。地域に学ぶところも少ないのに、どう他地区から若者を集めるか。立派な施設をどれだけ作っても、若者がいないことには宝の持ち腐れだ。
□公民館もお年寄りのたまり場になっていないか。若者たちに利用してもらえる工夫をしているか。今こそ、若者定住をキーワードに、考えられるあらゆるメニューを考える時だ。
□公立高校の入学試験が始まる。応募が多いのは圧倒的に資格が取得できる学科だ。普通科は軒並み定員ぎりぎりか、定員割れだ。なぜ大人たちは若者たちの要求に応えないのか。地元で学び、地元で働ける環境を作ることがどれだけ若者を救い、地域を救えるのか、明白な答えがあるのにだ。
□大人たちに聞こう。周南地区に住んでいるが、農業の勉強はどこでできるんですか。調理師の勉強をしたいけどどうすればいいですか。美容師になりたいけど……ちゃんと答えられる大人はいるのか。
(中島 進)