2026年04月29日(水)

コラム「一言進言」

お願いします木村市長様

~新庁舎完成を変換のチャンスに~

■周南市の新庁舎が完成し、きょうから一部で業務も始まった。豪華な庁舎に市民も驚くだろう。何よりそこで働く職員たちも気持ちが高揚するだろう。新しいものはいいもんだ。最後の最後に、落札者が決まらないイタリア製家具でみそをつけたが、それだけこだわった建物のようだ。設計者は賞を狙っていると聞いた。総事業費も破格で、110億円を超す勢いだ。周南市民にとって、遜(そん)色ない建造物だ。
■光市も庁舎を建て替える予定だ。こちらは今のところ概算で35億円のようだ。金額をあれこれ言うつもりはない。豪華だからいけないとも思わない。周南市は山口県の玄関口の一つだ。胸を張れる建造物でいい。問題は別だ。地方自治体の評価は庁舎の豪華さでは決して決まらない。みうらの元社長で相談役の三浦義孝さんが以前、社内報で書いたコラムは秀逸だった。静岡県の掛川市を訪れた時の体験談だ。
■街の食堂で食事をしている掛川市民に聞いた。「掛川で誇れるものは何ですか?」。すると、何人もの人が「うちの市長ですよ」と答えたという。掛川城の復元で募金を始めようという時、市長が先頭に立ち、まず、市職員がこぞって募金を始めたそうだ。市長の目線の持ち方がわかるいい話だ。周南市野球場の改修の際、スポ少の子どもたちも含めて、多くの市民が募金を集めた。その後、ようやく市は改修へ重い腰を上げた。
■全国で地震が多発している。防災拠点として、耐震がしっかりしている庁舎は必要だ。しかし、庁舎はそれだけではない。建て替えは市民サービスを大きく転換するチャンスだ。たらいまわし行政を撤廃し、職員の意識改革を起こす大きなチャンスだ。例えば夫を亡くした子どもを抱えた女性が、子ども手当の相談に来たらどうするか。国保の減免措置など、さまざまな制度の活用方法をどこで教えてくれるだろうか。住まいの問題も大きなテーマだ。
■私の知る限り、今の周南市では、市営住宅は住宅課へ、国保は担当課へ、ほとんどは自分で探して訪ね歩くしかない。制度も知人に聞くしかない。障害者もそうだ。どんな制度があるか、自分で探すしかないのが現実だ。行政側から教えてくれるシステムはない。新庁舎建設を機会に、制度も含め、市役所内部を大きく変える機会へと変換したらどうだろうか。木村市長の腕の見せどころだ。
■昔、どこかの市が「すぐやる課」というセクションを作って評判になった。櫛ケ浜駅のトイレの水洗化など、すぐに取り掛かれるようになるかもしれない。市民が本当に望んでいるのは、困った時に助けてくれる役所だ。お願いします、木村市長様。

(中島 

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