コラム「一言進言」
これで良いのか優先順位?
~何よりワクチン確保を~
■2021年度が始まる。新型コロナで明け、暮れた20年度だった。目に見えないウイルスにおびえ、恐怖した1年間だったが、収束は一向にまだ見えない。医療従事者へのワクチン接種が始まった。一般の人たちへの接種の見通しも立っていない。
■高齢者から優先的に接種が始まる。周南市は大津島の島民が最初らしい。100歳以上の人も優先順位が高い。感染した場合の重症化や死亡する率が高いからだ。難しいテーマだ。誰から接種するかを決めるのは。一人親の人に聞くと、「私たちは感染するとたちまち子どもの食事も作ってやれなくなる。働かないとたちまち生活もできない」近くに子どもの世話ができる人がいないと、子どもはどうするのだろうか。
■インフルエンザで死んでいく高齢者は減少していると聞く。命を守る順番はつけられない。子どもを飢えさせることを我慢して、高齢者を救うことを優先する。誰も文句を言えない。ある派遣社員は「私たちは感染すると同時に雇い止めになる。経済を動かす人が働けないとどうなるのか」と聞いてくる。
■ある零細企業の経営者は言う「大企業は1人2人感染者が出ても大丈夫だが、うちんとこは感染者が出ると仕事すべてが止まって倒産じゃ」。悩みは尽きない。それでも重症化する確率が高い高齢者が先だ。インフルエンザで死ぬ確率より低くてもだ。先の一人親家庭が言う「お年寄りは出かけることも少ないのに。感染する率が高いのは圧倒的に若い人たちでしょ」。
■ある医者が言う。「百歳以上の人を感染させるのは子どもからだ。風邪をひいても死ぬ確率高いから、接種でむやみに外に出さない方が良いかも」。なんとも百人百様思いがある。しかし、数が無尽蔵にあるワクチンではない。優先順位を付けざるをえない。高齢者から順番に、が無難なところだろう。しかし、たちまち子どもの世話をする人がいなくなる一人親家庭には、数があるなら並行して接種してあげて欲しいものだ。
■と言う私は社内で接種優先順位1番だ。正直譲れるものなら子どもにでも譲りたい気持ちだ。私の周囲にも同じことを言うお年寄りは多い。いろいろな思いが交錯するワクチン接種だが、今でも予定が決まらない状況はどうなっているのか。ワクチン開発が進んでいない日本は情けない。優秀な研究者はどこに行った。国を守る基本を捨てて何にお金を使ってきたのか。次回はどんなウイルスが襲うのか。
(中島 進)
