コラム「一言進言」
小口貸付に殺到
~「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざり」~
■時短、酒類提供時間の制限がようやく解除になった。さてこれで人々は解放されて、巷に足を運ぶだろうか。都会では緊急事態宣言下でも人流がさほど減らないと聞くと、都会と地方の人々の意識の差が大きいのが良くわかる。周南地域ではほとんどの飲食店が県の要請を守り、夜8時過ぎには飲食店はほぼ閉めていた。
■支援金が出たお店は少しは助かったが、該当しない人たちは大変だったろう。タクシーの運転手、酒屋、魚など材料を提供する業者、飲食店のアルバイトで生計を支えている人など収入の減収を補うものがない人たちはどうしたのだろうか。
■周南市社会福祉協議会など各市の社協に聞いた。周南市は、2019年度は生活困窮者への小口貸付を利用した人は8人程度、下松市は1人、光市も1人か2人だった。昨年度になると、国がコロナ禍対応で始めた10万円から20万円の小口貸付に、周南市で600人程度、下松市は237人、光市も108人と生活困窮者が貸し付けを利用した。
■社協担当者によると、飲食店でのアルバイト、タクシードライバーなど減収分への補填が無い人たちが目立つそうだ。しかし、これはあくまで貸付金で、早ければ1年後から返済が始まる。担当者によると、政府の方針がくるくる変わり、貸付要件も厳しくなったり、緩和したり、据え置き期間も1年だったり緩和したりと対応が大変だと嘆いていた。政府のドタバタぶりがこんな所にも出ていたとは。
■今、2人の子どもを育てながら介護士として働いている女性が、昼間の勤務で一体いくら貰えて、家賃を払い、子どもたちの生活を維持して、車を持たざるを得なくて、どう生活しているか想像できる大臣や官僚は、どれだけ存在しているのだろうか。
■コロナ禍で20万円、30万円を借りて何とか生活している人がこんなに増えているのに、バブル期のような株高で、政府は日本経済はすごいと自画自賛する姿に違和感をおぼえる与党国会議員はいないのか。株で儲けた人への減税策まで導入したが、どうなっているのだろうか。株の取引で得た収入には高率の税をかけるべきだ。「はたらけど はたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざり ぢつと手を見る」石川啄木の時代に戻ったのか。
(中島 進)
