コラム「一言進言」
「子どもの声がうるさい」で公園閉鎖
〜周南でも起こり得る現象〜
■最近、長野市で、留守家庭の小学生を預かる児童センターに隣接する公園が「子どもの声がうるさい」とのクレームで、ついに閉鎖されることになったと話題になっている。近年この種の話は多くなった。
■そもそもは、公園のそばに住む最近退職した国立大学の名誉教授からの苦言からだった。市は、再三にわたり名誉教授と協議してきた。名誉教授宅の玄関前の公園入口の場所を変えたり、家に近いところに植樹をして、なるべく子どもたちが名誉教授宅から離れたところで遊ぶように工夫をしてきた。
■児童センターへの送り迎えの車のエンジン音にも「うるさい」とクレームがあった。名誉教授の言い分は「公園を作りたい、拡げたいのはわかるが、自分たちに都合の良い人たちだけに声をかけて説明している。不利益をこうむる人を説明会に呼ばないのはおかしい」というものだ。
■名誉教授への説得は続いたが、万策尽きて、長野市はその公園の閉鎖を決めた。当然長野市議会でも問題になり、ある市議は「大学の名誉教授だから“上級国民”だからと忖度(そんたく)したのではないか」と追及した。
■身につまされる話だ。周南地域でも起こり得る現象だ。一人暮らしのお年寄りにとっては、小さな子どもたちの「キャーキャー」の声は騒音でしかないのかも知れない。もちろん元気な子どもの声で、自分も元気になれると感じるお年寄りもいるだろう。少子化が進み、めったに子どもの声を聞くことがなくなり、慣れない子どもの高音は騒音ととられることも増えるだろう。
■そういえば昔、徳山大学に学生が多かったころ、徳大生の乗るバイクの音がうるさいとわが社に電話が来ていた。若者が増えると、当然にぎやかな音も増える、と説得していた。街の活気は静寂より重要だと思ったからだ。
■さて、周南3市ではこんなクレームに対してどういう対応を取るだろうか。夏休みの朝のラジオ体操も、最近は「うるさい」の声で中止にする自治会も多いと聞く。少子化による弊害はじわりじわりと押し寄せていたが、これからは長野市のようなケースは珍しくなくなるかも知れない。
■人は誰しも老いていく。看護師や介護士の世話になりたくないが、否応なくいつかは世話になっていく。そのためにも一人でも多くの若者が近くで生活して欲しいのだ。「キャーキャー」とうるさい子どもたちがいるから、将来老いた自分も遠慮しなくて世話になれる、と考える。周南3市も本気で子どもを増やそう。こんな話題はこりごりだ。
(中島 進)
