2024年12月11日(水)

コラム「一言進言」

「家系図」関係ないか?

〜下がる投票率に危機感持とう〜

周南地区にも選挙の春がやって来た。しかし、巷で選挙の話題がテーマなることが少ない。元来おじさんやおばさんたちは選挙が近づくと「ありゃあこんな事を言いよったいねぇ」「あいつは〇〇が付いちょるからのお」など街のあちこちで選挙がらみの話が盛り上がっていたものだ。しかし、最近は話題になることもめっきり少なくなった。比例して投票率は急降下していった。

衆議院山口2区では補選がある。対抗馬が未だに見えないのも残念だが、選挙に関する話はほとんど聞かれない。まして「あれに入れちゃっていね」と依頼する声も流れない。熱心な支持者も以前のように見当たらない。

一つに岸信夫前防衛大臣の議員辞職が急だったこともあるし、ご子息の信千世氏が出馬決定直後に、全国でネット上で大炎上したことも影響しているのでは、との声もある。我が社の電子版の記事にも書き込みはすさまじかった。また「世襲議員はやめてくれ」もあったが、「家系図」を自身のホームページにアップしたことへの批判が猛烈だった。

「華麗なる一族」であることを選挙民はみんな知っている。ここ山口県は昔から佐藤派か岸派かで、もめてきた土壌もある。多くの総理を輩出してきたのが、県民の誇りだったのも背景にある。全国で名だたる保守王国は、一度は緩みかけたが、岸信夫前防衛大臣でますます強固になっていた。

佐藤信二元通産大臣が、ほとんど郷里を顧みず、秘書にも恵まれず、対抗馬の民主党の平岡秀夫元法務大臣に敗れ、保守王国の一角が崩れて全国的に話題になった。平岡氏は大蔵省出身の官僚でもあったことで保守票を取り込めたのも大きかった。人柄も素朴かつ、人の良さを感じさせる性格で、後に山口県知事になった山本繁太郎氏にも勝った。

妻たちを排除した岸氏の「家系図アップ」は、一般庶民からはかなりの違和感を持たれたのは間違いない。確かに「華麗なる一族」の家系図で、ひと昔前の山口県では通用したが、今の時代ではかなりの抵抗があるだろう。国政に乗り出すのに先祖が立派だからだというのは通用しない。政治家を目指すなら自分の信念、政治信条を訴えるべきで、父親とも違う若い感性や、今の時代を突き抜ける力を訴えるべきだろう。

とはいうが、余程の対抗馬を出さない限り信千世氏の当確が崩れることはないだろう。低い投票率はさらに低くなるのではないか。30%の有権者からの票で当選できるのが現在だ。自民党支持票だけで十分当選できる。これでまたみんな投票に行かなくなるのが怖い。

(中島 

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