2024年12月11日(水)

コラム「一言進言」

山口県東部に核のゴミ捨て場作るな

〜本当に安全なら東京に埋めろ〜

2011年の福島原発事故の悲惨さは、記憶の底にこびりついた。そのはずだが、日本人は10年ほどで忘れ去ったようだ。未だに故郷に帰ることもできない人が何十万人もいるというのに、マスコミも取り上げることは年々少なくなって、原発に対する拒否感は確実に薄れている感じだ。

突然のように、上関町に使用ずみ核燃料の中間貯蔵施設を建設する計画が出てきた。原発がだめなら、とりあえず核のゴミの捨て場として利用しようと言うものだ。過疎に悩む上関町は受け入れる模様だ。

人口がピークの3分の2に減少した上関町だが、お金のため核のゴミの捨て場を選ぶしか過疎を食い止める手立てがないと言うのでは町民は可哀そうすぎる。核の最終処分場の候補地として手を挙げた北海道の過疎地もそうだが、貧しさがそこまで人々を追いやるのはやるせない。

大都会で享楽を楽しむ日本人もいれば、過疎地でますます誰も帰ってこないのがわかっていながら、故郷を核のゴミ捨て場として生き残ろうとする人々もいることに、何とも思わない人が多いのにもやるせない。

使用ずみ核燃料はたまり続けている。地中に埋めても放射能が消滅するのには10万年かかると言われている。いわば永久的にそこは放射能汚染の危機から抜け出せない地域になる。地震大国日本では、近い将来南海トラフ地震が必ず起こると学者たちが言っている。規模も何も誰にもわからない地震に襲われたとき、地中に埋めた放射能の塊は大丈夫なのか。日本の技術力が「神話」だったことが福島で証明されたが、それでも目先のお金は人々の心を揺るがさせる。

上関に近い周防大島は同じく高齢化が進んだ過疎地区だが、若者が多く定住し、ワインを作ったり、ジャムを作ったり、それなりに活動的だ。原発建設が一番の話題の上関に若者が住みたいとは思わないだろう。瀬戸内海に面し、岩国や柳井に近い同町にも原発に固執していなければ、それなりの定住者獲得のチャンスはあったはずだ。

もし核のゴミを引き受けたら、その影響は周防大島、柳井、そして光市にも影響するだろう。将来が不安なところにわざわざ子どもを育てるために、また終の棲家探しをする人は少なかろう。30年かけて再処理ができなかった日本の技術力の中、山口県の東部を核のゴミ捨て場にすることは納得いかない。国の言うようにそんなに安全なら、最大の電力消費地東京のどこかに埋めればよい。そうしたら安全性を信用しよう。

(中島 

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