コラム「一言進言」
劣悪なインボイス制度
〜街のラーメン店、小料理屋はどうする?〜
■ 1日、昔から行っている大好きなラーメン店に行った。壁に貼ってあるメニューは相変わらずで並みで700円だった。「そうか、きょうからインボイス制度がスタートするんだった」と。もしラーメン店で領収書をもらい経費で精算することになったらどうなるのだろうか?素朴な疑問が生じたが、会社では1杯ごとに消費税を別に納税するのだろうか。
■ 市民団体などのイベントでは、フリーの司会者に長年頼んでいるケースもあるだろう。例えば今まで1回1万円で依頼を受けてきた人は、これからはどうするのだろうか?インボイス登録したフリーの人なら消費税分を上乗せしてもらうことができるというのだろうか。登録していない人なら1万円そのままでいいのか。その時は主催者の負担が増えるのだろうか。
■ 街中の小さな小料理屋で聞いた。「登録番号取るの?」「うちは取りません。必要そうなお客さんに聞いたら大丈夫と言われた」との返事。「申告が難しそうだし、税理士に頼むお金もない」と話す人もおり、地方ではインボイスが始まることに多くの個店が悩んでいると想像できる。登録していないお店の領収書は多くの会社では受け付けない。
■ 全国チェーンのお店は消費税を以前から徴収していたが、地元のラーメン店などで消費税分を価格に上乗せしている店は見たことがない。シルバー人材センターは働くお年寄り全員にインボイスの番号を取得させ、消費税を払う申告をさせられなくてセンターと発注者が全て負担することになった。
■ 一体、国の役人、政治家たちはどう受け止めているのだろうか。地方で細々と生きている人たちに、複雑な申告を強要し、消費税分を上乗せできない商いをしている人たちを苦しめ、わずかな収入を当てにしてきた年寄りたちから消費税を徴収するこんなシステムを、よくぞ考えついたものだ。
■ 今回の内閣改造で女性大臣は全て政治家2世だった。庶民の暮らしを経験したことがない人たちには体験的に理解できないのだろう。街の中から魚屋さん、お米屋さん、駄菓子屋さん、酒屋さんなどの多くが姿を消した。今度は小さな飲食店も姿を消すかもしれない。
■ 大企業の労働組合も変貌してきた。会社の利益を追求することが一番で、巷で働く人たちの苦悩も理解できないだろう。企業の社員も街のラーメン店や、小料理店で、メニュー板に書かれた金額で安心して食べることはあるだろう。これからはそういうお店で領収書をもらっても会社の経理には通用しなくなる。国家の力をどこに向けて発揮するか、方向が間違っている。
(中島 進)
