コラム・エッセイ
№53 2022年から始まったロシア・ウクライナ革命…みてみぬふりをしてきた課題に対応を迫られる
独善・独言 それまでの絶対的な権威や規範を根こそぎ否定してしまうという革命…私は日本においてA表㋑㋺㋩㋥がそれに該当すると考えた。
㋑は朝廷が初めて政治の実権を放棄した⇒中世、㋺は群雄割拠から国を統一管理する江戸幕府の成立までの近世、㋩は廃藩置県の明治維新、㋥は農地改革、女性参政権などGHQの強制民主化…これらを日本の革命と唱えても皆様の認識とそれほどの差はなかろう。
気づいたのはその4件が77年年周期で起こっていること。それならばGHQ革命から77年を経過した2022年にはどのような革命が始まっているのかと考えをめぐらせてみた。
この年に起こったロシアとウクイナの紛争…この紛争は永年“見てみぬふり”をしてきた国家課題に一気に「革命的対応」を迫られる元年になったという意味合いで「ロシ・ウクライナ紛争→RU革命」と名づけたい。
私は日本史上最大の革命は㋥のGHQ統治の6年間であると考える。これはまさに“それまでの黒が白になるような変革”であったが、今回のRU革命は変えなければならない厳しい課題の山積という観点では、GHQ革命以上の変革が求められていると訴えたい。
今回顕在化した課題をB表に7項目示した。6項目に触れる。
まず、㊀防衛力の強化が避けられない課題になった。ロシアで起こったことなら、さらにリスクの高いアジアでも起こってもおかしくないと気づくことになる。
㊁は㊀に連動する憲法改正への踏み込み。戦争放棄、専守防衛に徹するという欺瞞がいつまでも続かないことが判ってきた。
㊂は食料安保。肥料を含めると我が国の食料自給率は10%を切るという観方があるなかで、カネがあってもどうにもならないという危機感が一気に現実化した。
㊃はエネルギー安保。紛争による資源保有国の供給不足は“もたない国”である我が国の産業基盤を揺るがすことになる。
㊄はここ数年国中がやっきになって対応してきて実績があがっていない課題。限られた地域の細かな成功例はでてこようが移民の受け入れに踏み見込まないのなら、人口8千万でも生き延びる戦略にシフトしなければ出口はあるまい。
㊅はそれらの諸課題に立ち向かう政府の懐具合。1,200兆円を超える国と地方の借金は普通の感覚では待ったなしだが、積極財政派の存在もあり対応に一貫性がない感あり。財政改善がすべてを包括する一番の課題と考える。
RU革命は先送りしてきた課題の脱却にGHQ革命同様他動的に迫られたもので、今の政府の迷走ぶりからして終末が見通せないように思う。しかし、対応を怠れば孫子の代には“座して死を待つ”状況になりはしないかと危惧する。
…がどうでしょうか。
講演請負業 阿武一治 kazuharu.anno@gmail.com