2025年10月02日(木)

コラム・エッセイ

No.89 地方自治考19・人口問題、財務問題⑥…学校統合はこれだけの経費減になる。教員不足対策にもなる。郷愁を超え急げ

独善・独言

 ㊅これまで5稿にわたり人口減、財政改善策として「集約」と、その効果策一番として市町の合併をあげた。今回は63稿、66稿でも触れた学校の統廃合を再度取上げたい。

 ㉓まず小学校。A表の通り県内の児童数はこの20年で25%もの減少をみせており休廃校は20%にもなる。しかしまだ統廃合の余地は大きい。地域の事情でなく大局で探りたい。

 なお、表示の数値は主に県教育委員会の24年9月の資料から、教員は本務教員のみとし、その平均年収は国の発表のものを参照し、退職手当等も加味して700万円と仮置きする。

 ㉔ひとつは現在の中学校ベースで統合するという視点。私は基本として送迎バスで30分以内で通学可能な小学校は統合を探るべきと考える。現在中学生が自転車で通学している距離なら小学生がバス通学しても無理がないという理屈である。

 B表小学校数が中学校数と同数になれば小学校は150校減少、その比率から教員は2,500人への減少が可能になり毎年164億円の人件費カットを実現できる。

 もうひとつ別のアプローチ。C表は県内の1学校60人以内(つまり1学年平均10人以内)を同資料から抜粋したものだが、この98校を近隣の大型校に統合するという対応。702人の教員は統合校で従来の教員数でまかなえるから不要、その年間の人件費余剰額は49億円となる。

 ㉕さらに中学校の統廃合に関して。我が郷里の美祢市厚保地区には小学校(児童35人、教員9人)、中学校(生徒29人、教員12人)が1校ずつある。いずれも1学年平均10人未満になる。市内中央校に統合しても最遠地区でもバスで30分以内の距離である。

 このような例を1件1件探れば相当数の統合校が見込まれるであろうが、地区ごとの事情が不明なので取り上げるすべがない。しかし、過疎化がさらに進み統廃合が避けられない状況になれば、2割程度の学校数減⇒それによる教員減で年間38憶円程度の人件費圧縮が可能になろう。

 ㉖統合後には通学用のバス運用の負担が生じる。新たな設備更新が必要になるかもしれない。しかしそれは被統合校の維持費や給食の配達ほかの集中化による経費を考慮すればツッペになりはしないか。

 何より㉔の164億円、㉕の38億円を返済原資の30年償還として㉔では4,900億円、㉕で1,100憶円の新たな投資が計算上可能になる。急ぐべきではないか。

 ㉗光市では4校統合の大和小学校が誕生した。近い将来小中一貫校として35億円の新校舎投資を計画していると聞く。D表のとおり統合により教員数は27人減となって年間人件費負担は約2億円減る。30年の償還財源換算すれば60憶円となり35億円の新校舎投資は余裕の範囲内となる。

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 その大和地区に関係した教育関係者と話した。統合後の生徒の不安や小中一貫教育への私見は聞いたが、私が「統合後、教員は何人減りましたか」との問いには回答がなかった。統合⇒教員減⇒歳出カットに関心はないのである。

 これまでの私の学校統廃合のコラムに関して『地域との関りを無視しては成り立たたないよ』とまっとうな意見を聞いた。地域の要望を丁寧に汲み取ることの重み…次稿にまわす。

 県の教育委員会が推し進める高校統合はすざまじい。このスタンスで小学校統合に立ち向かってほしい。

 市町の合併、そして公立学校の統廃合は国の財政改善の柱にもなる。

…次稿につづく。

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