2026年06月24日(水)

コラム・エッセイ

No.91 地方自治考21・人口問題、財務問題⑧…集約批判に反論する。「ポツンと一軒家」には行政の悩みが凝縮されていないか

独善・独言

 ㊇7回にわたって地方自治の将来課題に関して「集約」をキーワードに記述してきた。今回は地方自治に関連してこれまでひっかかってきた事象をあげていきたい。

 私の取り上げる基調、視点は人口問題、財政問題が危機的であるという認識のもと、「あった方が良いがなくてもなんとかなるものは止めよう」というもの。先稿で触れた河合雅司氏は著書「未来の年表」のなかで人口減への対処策のひとつとして「20世紀型成功体験や既得権益を打破して捨てるところは捨てるべき」と主張している。同意趣と受けとめる。

 お断りする。以下の事例には過激なものもあるが、私は皆様に“どうでしょうか”と問題提起をしているもの。絶対こうすべきという主張ではないとご理解いただきたい。

 ㉞私が自らのコラムに「下松市は住みよさランキングで全国トップクラスである」と紹介したら東京人から「なにが住みやすいだ。駅南に住む私の母は手押し車をおして遠くまで買物に行っている」と買物難民状況を嘆くメールが届いた。同情する。しかし、その方は自ら選んでその場所に住んできた。50年前には八百屋さんも肉屋さんも周囲にあふれていた下松一の繁華街であったはず。市がおばあちゃんのニーズに応えようとすれば極端、隣にスーパーを誘致しなければならなくなる。

 ㉟同趣旨。下松市の東陽団地に住む先輩から電話を受けた。車に乗れなくなったので買物が不便になった。行政で救済できないかというもの。同情する。しかし、東陽団地といえば空は広い、道路も広い、公園は整備されている一等の住宅地である。ただ、車がないと生活が成り立たない、そのことは40数年前の建築時に判っていたのではないだろうか。

 ㊱村上総務大臣が「市は30〜40万人規模に集約すべき。県庁はいらない」という発言に対し一人の県知事からは「キメ細かい対応が難しくなる」とのごく当然な反応があった。キメ細かい⇒合併で取り残される地域住民への配慮なのであろう。

 しかしである。今の仕組みを継続しても、過疎化進展のなかで、自治体の財政難のなかで、満足な住民サービスが=県知事のいうキメ細かい対応が維持できるという自信があるのであろうか。実は今は運営できていても将来の展望がみえていないのではなかろうか。国にカネさえあれば別だが…。
 
 ㊲「ポツンと一軒家」放送はオモシロイ。しかし、その1軒でも残れば行政は道路も水道もゴミも買物難民も…住民サービスは削れない。電力会社や郵便局と一諸になって「街にでませんか」と誘導したくならないか。あの憎たらしいが傾聴している玉川徹氏は「どうぞそのままそこに住んでください。しかし水道は通しませんよといわざるを得ない日がくる」と予言している。ダム開発時のような強制移転ということにはなるまいが…ともかく「ポツンと数件集落」は行政の重荷になる。

 ㊳私の故郷、美祢市西厚保町には「厚保っ子サポーターズ」というNPO法人がある。小学校を存続することで地域の衰退を阻止しようと活動されていると思う。敬意を表す。

 学校の統廃合は単に教育機関がひとつ減るということではない。⑴地域コミュニティの崩壊、⑵人口減少の加速、⑶こどもの負担増、⑷地域に根差した学びの機会を失う…社会、文化的損失が大きく、行政には地域ごとの事情をていねいに汲み取った対応が求められるというのが大方の認識であろう。

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 しかしである、A表、⑸厚保小学校は児童数35人、⑹昨年の出生数から推計するといずれ美祢市全体の小学生の数は644人が342人にほぼ半減する、⑺市一校に統合してもバス通学の時間は最長負担限度45分以内にほぼおさまりそう、⑻合併により教員数100人減、人件費圧縮年間7億円、30年間換算投資額210憶円になる。

 いつまでコミュニティにこだわられるだろうか。

…次稿につづく。

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