2026年09月29日(火)

コラム・エッセイ

コロナのさばる春弥生

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 小学校・中学校と我が家に集い、英語に親しんできたSさん。大学でも英語学を専攻し、卒業後はイギリスに留学し、修士論文執筆に取り組んでいる。そのSさんから久々にメールが届いた。新型コロナウィルスに関しては日本の方が関心が高いように思うとのことだが、それでも様々に対策がとられていて、大学の講義も全てオンラインで行われ、登校する必要がないので、帰国する留学生も多いらしい。

 更に図書館も近々閉館されるというので、さすがにこれは困っているということだった。テーマを決めて、あと半年で仕上げなければならない論文作成の下調べに必要な文献が、図書館閉館で見られなくなったら大いに困るのは、私にも分かる。しかし彼女が一番心配しているのはその事よりも、無事論文が仕上がったとしてその後日本に帰ることが出来るかどうかということだそうだ。

 世界中で、とりわけヨーロッパで、収まる気配なく拡大している新型コロナウィルス肺炎。帰国予定のこの秋までに終焉の目途が立っていなければイギリスでは移動禁止、日本では入獄禁止措置がとられていて、いつ解除されるか予測もつかないだろうから、その時どうすればよいのかということらしい。今のヨーロッパの状況を見ると「そんなことは心配しなくてもいいよ」とはとても言えず、真実味を帯びた不安だと、納得できる。突如として全地球を大混乱に陥れた新型コロナウィルス。数カ月過ぎた今では少しずつ様相が分かり始めてきたが、確立した治療方法がないという最大の不安は未だ解消されず、これが恐怖をますます拡大させ、混乱を収拾しがたくしている。

 自分の周囲を見ても、我がつれ合いのカラオケ禁断症状などはあまり問題にする価値はないものの、若者支援のための集まりや会議・研修会なども当面自粛となり、必要な業務が滞ってしまい、今後の対策に頭を痛めているのが現状だ。

 一斉休校・イベント自粛・マスク不足・株価急落と混乱が続く中で、口にされ始めたオリンピック開催危機。延期、規模縮小、はては中止など様々に取り沙汰されているが、ここは予定通りの日程で無観客で行うのが一番現実的だと思う。政府やオリンピック準備委員会が実施にこだわるのはオリンピック精神発揚という高尚な動機よりも経済的理由だろうし、日程を大幅に変更されては、選手はたまったものではない。それに競技を見るのは競技場に行く人よりもテレビ画面で見る人の方が圧倒的に多いのだから、臨場の興奮は得られなくてもほとんどの人は満足するだろうし、放映権料が得られればIOCも異論はないだろう。それがダメなら中止、が私の結論。

(カナダ友好協会代表)

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