2026年06月24日(水)

コラム・エッセイ

盆と正月来訪

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 今日も昨日も、このところニュースの始まりは先ずコロナ。東京の関東も、大阪の関西も新規感染者数の記録を日々更新し、山口も過去最高を毎日のように更新している。この原稿は1週間前の状態だから、今日はどうなっているか分からないが、全国感染者数のグラフの高まり具合からは、1週間で急転下降しているとは思えない。

 海外もほぼ同様で、ヨーロッパもアメリカもロシアも、一向に収まりそうにない感染拡大が続いている。停滞しきった日本経済のカンフル剤として注入が続く数々の「Go Toキャンペーン」も感染爆発を恐れて急ブレーキをかける事態になった。

 どこかで思いっきり羽を伸ばしたい気分を内から外から押さえつけられて発揮することが出来ず、精神も体調も晴れぬ日々の連続だったが、そんな中、重く垂れ込める暗雲が一瞬に晴れ渡ったような素晴らしい一日が、少し早めのお歳暮のように訪れた。

 その日、時間に縛られない生活の身には少し早めの朝、耳元に置いた携帯の着信音で目が覚めた。発信者はかつての教え子で、昨年大学を卒業し、引き続きイギリスの大学院で研究生活を続けているSさん。修士論文の執筆に余念のない生活を送る中での新型コロナウィルス禍勃発。大学には出入りできず、研究のために欠かせない図書館は閉鎖され、予想もしなかった最悪の環境の中で論文作成に取組まなければならず、大変な苦労だったようだが、この度ようやく書き上げて提出し、無事受理されて修士号が得られることになったという知らせだった。

 小学校低学年からのお付き合いで、努力家のSさんの成長過程をつぶさに見てきたので、この知らせだけでも十分すぎるほどの喜びだったが、添付されていた修士論文を見て、倍になった。英文で60ページにもなるその論文を読んだからではない。専門用語に満ちた本文を容易に読みこなすには残念ながら力不足だ。喜びの元は論文冒頭の「献辞」。論文作成のために指導を受けた諸先生・諸先輩、支援を受けた方々への感謝を述べたそのページに私たち夫婦の名を挙げて、丁寧な感謝の言葉が述べられていた。 

 自分達の孫娘のような気持ちで、色々気にかけていたのは確かだけれど、研究生活に関わりをもったり、支援していたわけでもないのに、私たちのことをこんなに思っていてくれたのだと知って、心が熱くなるのを覚え、涙が浮かんできた。

 それだけではない。夕方やって来た、大学入試を控えたKさんからは模試の結果がこれまでの最高だったと報告があり、他の生徒達はなぜかこれまでになく熱心に学習に集中していたりと、私にとってはまさに、盆と正月が一緒に来たような至福の気分に満たされた嬉しい一日となった。こんな日が、時にはあってもいいのだろう。

1.コロナ禍の中で修論完成、合格。献辞に述べられた私たちへの感謝の言葉

2.生徒達のこれまでにない一生懸命な勉強の姿。

(カナダ友好協会代表)

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