2026年06月25日(木)

コラム・エッセイ

年頭雑感(2)

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 前稿でとんでもない資料と言ったのは、平成12年の首相官邸ホームページに収録されている教育改革国民会議第1分科会での議論をまとめた「子どもへの方策」というものだ。

 教育は国の全体にも各個人にもその現在・将来に関わる重要な事柄だから、いつの時代にも個人・組織の様々なレベルで、あるべき姿、問題点の指摘、改善への提言などが常に発せられている。

 様々な人がそれぞれの立場で思い描く教育のあり方を述べ世に問うのは自由で、その評価は聞き手に任されるのだから、たとえ愚論・暴論と思われるものが発表されても特に問題ではないだろう。嫌なら見なければ、聴かなければいいのだから。

 しかし国の教育政策に関わる会議で取り上げられ議論されたものとなると「ああ、そうですか」と見過ごすことは出来ない。その会議の結論が国の教育政策に取り入れられ、日本の将来の教育のあり方を方向付けるものになる可能性が大きいからだ。

 この会議は22年前のことだからかなり古いものだが、教育政策の影響は50年、100年に及ぶ。例えば、この会議の議論よりも更に以前に取り上がられた「ゆとり教育」はその後廃止されたが、未だに日本社会に負の影を落とし続けている。

 さて、その会議では何が議論されたのかというと、小学生から高校生の子どもに対して、家庭・学校・地域でどのように対応するか、大人や行政(政治)はどのように取り組むべきかを書き並べているのだが、この内容が「これ、本気でこんなことを議論したの?」という事柄のオン・パレードなのだ。

 幾つか拾い上げると「甘えるな」「団地、マンション等に床の間を作る」「教育の責任は当人50%、親25%、教師12.5%、一般社会12.5%であることを自覚させる」「教壇を復活させることなどにより、教師の人格的権威を確立させる」「敬語を使う時間を作る」「お寺で3―5時間座らせるなどの我慢の教育をする」「学校に畳の部屋を作る」「子どもを厳しく飼い慣らす」「バーチャルリアリティーは悪であることをはっきりと言う」「約2週間共同生活を行い肉体労働をする」「全ての国民に1年ないし2年間の奉仕活動を義務づける」まだまだあるが、このくらいにしておく。

 要するに余計なお世話の羅列で、そのほかを見ると「挨拶(あいさつ)をしっかりする」という至極当然なものもあるが、「倫理、情操教育を行う」「歴史教育を重視する」「子育てに必要な事項を決めた育児憲章を作る」となると、誰が、どんな考えで行うかで恐ろしい結果になりかねない。

 これらの提言に一貫しているのは、この会議のメンバーが正しい教育のあり方を示してやるから、汝ら愚民はこれに従えという思考に思え、こんな人達に日本の教育を決められては若者の将来は真っ暗闇になりそうだ。(次稿に続く)

(カナダ友好協会代表)

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