2026年06月24日(水)

コラム・エッセイ

年頭雑感(3)

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 「子どもへの方策」について長く記してしまった。

 前稿ではこの資料で提言されていることの中で「あれ、あれ?」と思ったことを抜き出してみたのだが、他には「大人が反省する」という項目もあり、紹介した中にも「私もそう思う。この、どこがとんでもないの?」という意見もあるかもしれない。

 全体として眺めるとこの提言者達の目指すところは、子どもの教育の大切さを自覚し責任感に溢れた父親が聖職意識十分で威厳を備えた教師とタッグを組んで子どもたちを規律正しい行動を取れる社会人に育てることのように思える。根底にある価値判断基準は別問題として、そのような状態はおかしいとは言えないから、この会議の提言について一つ一つをより詳細に議論することも、国民的コンセンサスを得るためには必要なのだろうが、それより先に思うことは、物事の順番が違うのではないかということだ。

 人が他人の言葉を受け入れるのは、受け入れることが自分の利益に、受け入れなければ不利益になるという利害関係にあるとき、あるいは相手を信頼し尊敬できるときだが、この方策の提言者はどうも前者の立場にあるようで、それは提言の中に「守らなければ罰を加える」という項目があることからも見て取れる。

 しかし政府と国民は一方的な利害関係で結ばれているわけではないから、提言が広く社会に受け入れられるためには、提言内容に加えて、提言者への信頼と尊敬、少なくとも信頼がなければ提言・指示されたその瞬間から抜け道が探索され、新たな提言とのいたちごっこに陥るのは目に見えている。

 日本の教育のあり方に問題があることは多くの人が認めていることだが、その状況を改善するために「こうあるべき」「こうすべき」という提言が受け入れられるためには、提言者(最終的には政府)への信頼が必要条件となる。

 だが、現実はどうか。提言から20数年を経た政治のあり方を見ると、問題はひた隠す、隠せなくなったら否定する、否定しきれなくなると公文書を書き換えてでもなかったことにする、という「証拠がなければ、法に触れなければ、何をしてもいい」「違法になりそうだったら法の解釈を変えて適法にすればいい」という問題処理が目の前で次々と起っている。

 こんな姿を見て政治への信頼を持てというのは無理な話だ。国民会議が先ず目指すべきは、政府への国民の信頼を得るための為政者教育への提言だろう。物事は順番を間違えると大きな損失を招く。

 ましてや教育方針の手順の誤りは100年の時間を無駄にしかねない。この会議の提言者諸氏は22年後の今、どんな提言をされるのだろうか。(カナダ友好協会代表)

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