2026年06月24日(水)

コラム・エッセイ

マスクの効用

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 一向に収まらない新型コロナウィルス感染症。とうとうオミクロンまで来て、それもどうやら次の変異が進んでいるらしい。アメリカでは1日100万人、ヨーロッパ諸国でも数十万人という数字を日本とは関係ないものだと思っていたら、俄に身近になり、地域の小・中学校でも、陽性者が出た、濃厚接触者になったと、具体的な固有名詞が聞かれるようになった。

 先月末までの累計感染者数は約270万人で、全国民の2%以上。これに濃厚接触者、それに無自覚・未検査の感染者を含めると恐らく10%以上、10人に1人以上がウィルスと共同生活をしている可能性があるから、いつ自分が感染者になってもおかしくない。

 いくら用心しても、日常生活を続けながらこうすれば完全に大丈夫という手段を持っているわけではないから、出来る限りの対策を取りながらひたすら日々を送り、ああ今日も何とか無事に過ごせたと眠りに就くしかない。いつ我が身に降りかかるかもしれない難事に備えながら果てしなく日々を過ごすのは大きな精神的苦痛を伴う。

 今まさに、全国の進学希望者がここを先途と必死の思いで頑張っている受験勉強も、あと1ヶ月くらいでひとまず終結することが分かっているからラストスパートの苦しみにも耐えられるので、これが何年も何十年も果てしなく続くとしたらとても耐えられるものではないだろう。

 新型コロナウィルス感染症対策にしても、第5波、第6波と、文字通り一山越えれば次の山、しかもその度に高く険しくなる成り行きに対して、マスク・手洗い・ワクチン接種に三密回避・行動自粛と、今では誰もが淀みなくすらすら唱えられるほど浸透した。

 言葉を換えればそれ以外に手はない(最近ようやく治療薬の実用化が進んでいるのは朗報だ)対策を要請し続けられると、対策を呼びかける声の重みも次第に軽くなり緊張の糸も緩んで、三密回避・行動自粛などへは、めいめいの言い訳のついた抜け駆け行動が増えてくるが、マスク・手洗いに関しては、なぜかすっかり身に付き、生活行動の一部になっているように思える。

 どうもマスク、手洗い、特にマスクには「感染症予防のため、したくはないけれど、しろといわれるから仕方なくやる」というのではなく、積極的にかけさせるわけがありそうだ。

 マスクをかけ忘れて外出すると、途中からでも飛んで帰りマスクをして出かけ直す我がつれ合い「それは、周囲の非難の目を感じるのが第一だが、外に出ても寒風が防げるし、大口開けてあくびをしても分からない。変な顔も隠せるし」と結構気に入っている様子。こんな人も案外多いのではないのだろうか。

 感染症が収まってもマスクのお役目は長く続きそうな気がする。アベノマスクの無駄遣いの再現はご免だが。(カナダ友好協会代表)

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