2026年06月24日(水)

コラム・エッセイ

伝えて教えて

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 77回目の終戦の日を迎えた暑い夏。新型コロナウィルス感染症の大波、ロシアによるウクライナ侵略戦争、異常気象、狂乱的値上げ、元首相の命を奪った凶弾、それをきっかけに明るみに出た怪しげな団体と政治家達との結びつき。

 思いがけないことが起こるのは世の常で、一寸先は闇、1秒先は光明かもしれない中で自分に与えられた時間(命)を過ごすのが人生。その時間にも限りがあることを自覚しなければいけない時期になっていることを真剣に思うことが次第に増えてきている。

 それでもこの77年間、戦争で命を失う危険は感じなくて済んだ。ひとたび起これば誰かの命が失われることが確実な戦争がないことは、何よりも大切な命を守るためには、確実に「善い事」で、戦争は間違いなく「悪い事」なのだ。

 その悪い事を自ら引き起こすこともなく、巻き込まれることもなく77年間を過ごしてこられたことは本当に幸運なことだったと思うが、世界全体に目を広げると、この間も戦火の絶えたことはなく、朝鮮半島で、中東で、ベトナムで、アフガニスタンで、イラクで、まるでリレー競走のように続けられて来た。

 そして今年の春、突然のロシアの侵略で始ったウクライナ戦争。毎日のように詳細な画像で報道されるから、戦争で起こる現実を初めて目の当たりにした人も多いだろう。同じ事、それ以上のことは、報道されなかっただけで、これまでの戦争でも起こっていたことで、戦争の結果の悲惨さは、変わることはない。これを見てどう感じるか。

 戦争の無残さ、その結果の悲惨さは画像だけからはなかなか実感できないが、戦争が「悪い事」だということは伝わるだろう。無残さ、悲惨さを体験し知っている人は、こんな目には二度と遭いたくない、戦争はしてはいけないと思えるが、体験も知識もなければ、「悪い事をする者は力で押さえつければいい」「戦争になったら勝てばいい」と考え、軍事力増強が大切だと考えるかもしれない。

 今、詳細な報道を背景に、軍事力増強の流れを煽って日本を戦争を呼び起こせる国にしようとする動きが強まっている。その考えの中にあるのは「軍備を増強しておけば戦争に勝てる」、そして煽る者達の思いは「戦争で儲けよう」ということで、決して自分たちが無残さ、悲惨さを受け止めようとは思っていない。

 悲惨さ無残さを知っている人は「戦争は悪い事。してはいけない事」と言い切れる。そしてその思いを、悲惨さ無残さを知らない人に伝えることができる。だが、その人達がいなくなったらどうなるか。

 それは教育しかない。伝えられた「戦争は悪い事」という思いを基に、家庭で地域で学校で、「戦争は、してはいけない悪い事」という教育を続けていくことが、悲惨さ・無残さを再びもたらさないための、今命ある者の大切な使命だと思う。戦争を起こさない教育を目指す政治の実現を切に願う。

(カナダ友好協会代表)

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