コラム・エッセイ
リハビリ仲間
新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子入院手術後回復は順調で、日々の生活にもほとんど支障のなくなった我が連れ合い。
ただ一つ、予告なく襲ってくる腰の筋肉痛で歩行困難が起こることが、もう半年あまりつきまとう悩みで、リハビリトレーニングや電気刺激を続けながら、かつての生活リズムを取り戻したいと日々励んでいる。
同じような症状が、こうしたら快癒したという友人の体験を最大の拠り所に、倦まず弛まずけなげに励んでいる様子は、支援相談に訪れる若者達の姿にも通じるものが感じられる。
継続は力なりとはよく言ったもので、最初はこんなことが本当に効果があるのかと、本人も私もかなり疑問を交えながら通っていた。10回、20回、30回、40回と重ねてゆくと、始まりと今とでは歴然と差があって、今ではコルセットも不要で、杖も持たなくても恐らく大丈夫なほどに外出も楽しんでいる。
そんな私たちにラインメールが届いた。体調を崩して大学も休学を続けていたT君がようやく回復が自覚でき、復学に向け活動を始めたという。
久しぶりに交流場所に顔を出しますという知らせに、気持ちを新たにしてドーナツ作りに向かった連れ合いと、出来上がったドーナツを携えて待ち合わせ場所へと向かった。
T君は普通の者が聞いたら目もくらむほどの学歴の持ち主で、復学先も簡単には口にできないほどのビッグネーム。穏やかな目の、物静かな、以前通りの雰囲気でソファーに身を沈め、今では彼を支える存在になっているYさんと二人で迎えてくれた。
会うと挨拶もそこそこに持参のドーナツを勧めながら、前置きを省き語りかける連れ合い殿。自分は歩行への体調回復に向けて、T君は復学に向けリハビリに取り組むお互いの現状を確認し、しばし語り合い、時を過ごした。
「私は何でも定義するのが好きで、『幸せとは今生きていること』とこの年になってようやく定義できた。」
「最近思うことは『成長とは出来ることが増えていくこと』で、『出来なくなることが増えていくのが老化』そして『出来なくなっていたことを出来るようにすることがリハビリ』ということ」
と語りかけ、そして、今私は自分の足で不自由なく歩ける毎日を取り戻せるように、君は目指す道を究めるための学びの場に浸れるように、それぞれがリハビリに励んでいるのだなと言葉を確かめていた。
その後はお互いの近況や思いを語り合い、Yさんも交えて時を過ごした。親子どころか、祖父と孫ほども年の離れた二人の会話が同じレベルで流れ合うのを聞きながら、この二人のリハビリ仲間の努力が実を結んで、またYさんを交えて語り合う日が早く来るようにと祈った。
(カナダ友好協会代表)
