2026年06月24日(水)

コラム・エッセイ

日常茶飯事?

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 国内には解決すべき多くの課題を抱え、国外からは対応しきれないほどの難題が次から次へと襲いかかる内憂外患状態の中で、国会では連日「もり・かけ事件」の攻防が続く。一時は国民の視界と意識から遠ざかりつつあった事件が再び一層苛烈な勢いで燃え上がったのは、事件の中身が変わってしまったからだ。

 日本国が抱える問題は数限りなくあって、少子化、エネルギー、財政再建、憲法、社会保障制度、行政改革、どれ一つとして、いかな強力政権でも容易に解決できるものはない。

 そんな中での森友・加計問題は、軽視できない、許し難い思いだが、問題の大きさで言えば、費やされるべきエネルギーの優先度はそれほど高いものではなかった。多くの内憂課題を抱える政権がイライラした気持ちを持ったとしても不思議ではない。

 しかし3月以降、この問題の本質は一変した。8億円の不当値引き疑惑など霞んで消え去るような、決済ずみ公文書改ざんの発覚。行政の意志・行動とその結果の証である文書を、誰かの都合に合わせて改ざんする、そして、それが明らかになることがどんなことを引き起こすか、改ざんを命じた者、実施した者は、考えが及ばなかったのだろうか。

 政治は庶民の信頼のもとに成り立っている。民主国家であろうと独裁国家であろうと、これは変わらない。近隣のやんちゃ坊主も、海の向こうの好き勝手老人も、彼らを信頼し、支持する民衆がいるから権力を行使できるのだ。

 だが、政権の行動記録が誰かの都合に合わせて勝手に書き換えられていることが明らかになり、政治への信頼が根底から覆れば、政治課題への取り組みどころか、政治そのものが成り立たなくなる。

 もはや8億円値引きの是非など比較にもならない最大の内憂になった公文書改ざん。しかし問題発覚後も担当部門所管の大臣は「あれは部下が勝手にやったこと。それよりも外患への対応の方が重大事項だろう」という趣旨の見解を示した。

 庶民の批判の目を逸らすためなのだろうか、それとも、実は公文書改ざんは庶民の目の届かないところでの日常茶飯事で、この人にとって今回の改ざんなど、本当に些末(さまつ)な問題なのだろうか。

 そういえば、日本製品の高品質への信頼が一挙に損なわれるようなデータ改ざん事件が、たて続けに発覚した。それも数十年も前から継続されていたという。もしかしたら公文書改ざんの方も、もっと広く、長期にわたって続けられていることが、運悪くバレただけなのかもしれない。

 だが、バレてしまった今、失われた信頼をこの人たちは回復出来ると思っているのだろうか。

(カナダ友好協会代表)

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