2026年06月24日(水)

コラム・エッセイ

奨学金

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 東大授業料値上げが話題になっている。高収入家庭が多く、負担できない額ではないのだろうが、当然他大学にも及ぶから、多くの学生には大きな負担増になる。もっと大幅に上げろという声も起こっていて、負担増には奨学金の充実で対応すればいいという意見も値上げ推進者からは出ているようだ。

 でも、そのお金どこら出てくるのか?大学運営費への国の負担を引き下げようと一貫して運営助成金削減を進めてきた政府が、学生のことを思って奨学金を増やす政策を推進するのは、「奨学金増やそう党」が政権を取らない限り期待薄。既存の奨学金制度も返還される奨学金が次年度以降の奨学金の原資になっていて、増額はおろか、継続も綱渡りの運営という状態と伝えられている。

 民間からの寄付による奨学金制度もあるが、全てに応じられる規模ではない。奨学金の多くは返還の必要のない給付型よりも、利息の付く貸与型の方が多く、数百万円から1千万円規模の返還金を抱え、卒業後の社会生活の大きな負担となっている奨学生も多いと聞く。

 授業料は容赦なく上ってゆくのは目に見えているが、給付型の奨学金制度の充実は遅々として進んでいない。どうするか?

 寄付文化の根付いたアメリカでは個人や組織の名を冠した財団が社会貢献活動として大規模な奨学金給付をしたり、大学が多くの寄付金を集めて奨学金制度を充実させたりしている。日本でもそうした奨学金制度はいくつか知られているが、寄付文化定着のない日本では多くの学生の必要を満たすには十分とは言えない。

 授業料値上げ、生活費増大の圧力が高まる中でどうすればいいのか。税金で支える政策の実現が期待できない以上、どこかに財源を求めなければならない。

 国だって1千兆円を超える借金を抱えて財政は火の車。おいそれと財布の紐は緩められない事情はある。奨学金のために増税しようと言う勇気は政府にはありそうにない。どこかにないか?奨学金の財源。

 日々の減少を気にしなければならない脳細胞で懸命に考えた結果、ありました!国内企業がせっせと蓄えている内部留保金。言うなれば企業のタンス預金。今では500兆円を超える額が、将来の必要に備えるのだという言い分のもとで、活用されることなく蓄えられている。

 このお金は元を正せば学校で教育を受けて入社した従業員が企業活動を通じて稼ぎ出した利益の蓄積だ。その一部を企業の将来と現在を支える人材の育成のために提供してもバチは当たらない。

 それぞれの企業が内部留保金の一定割合を出し合って全国的奨学金機構の基金・運営費に当て、継続的に運営できる給付型奨学金制度を作ればよい。素人の浅知恵だと一笑に付されそうだが、勤労者と経営者とではとかく意見が対立する利益の配分で一致の可能性のある使い道ではなかろうかと、密かに期待している。ご検討下さい。

(カナダ友好協会代表)

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