2026年06月24日(水)

コラム・エッセイ

話し合い

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 辺野古海域埋め立ての賛否を問う沖縄県民投票が実施され、反対票70%以上という結果になった。圧倒的多数が反対の意思表示だったのだが、投票率は52%強であったので、全有権者につぃては40%弱でしかないという、政権に近い側からの指摘もあった。しかしこれは、言わば負け惜しみの類いで、更に言うなら、天に唾することだと思う。

 国会で圧倒的な議席を擁する政権党だが、前回総選挙の投票率は54%弱、全投票数に対する政権党の得票率は50%以下なのだから、同じ考えで見ると政権への支持率は全有権者の25%程度ということになってしまうからだ。

 県民投票の結果が今後の事態の進行にどのような影響を与えることになるかは分らないし、県民投票の善し悪しを断じることも私には出来ないが、どうしてこうなったかについては今の日本社会で起こっている様々な現象に共通する要因があると感じる。

 社会の中で何か変化を起こそうとする時、それに関わる人達が全員同じ考えなら何の問題も起こらず、ルールの申し合わせ、確認・指示くらいでよい。考え方が異なる場合はそれぞれの考えを述べ合い、互いの相違点を知り、双方が受け入れられる妥協点を見つけるための話し合いが行われる。これが社会で共に生きてゆくための基本姿勢だろう。

 しかしこのところ、特に政治の世界で蔓延しているのは、自分と意見の違う相手は話し相手でなく敵だと見なす風潮だ。自分の考えと異なる意見は全く受けつけない。自分の過ちは絶対に認めない。話し合いにも議論にもならず、自分の意見を結論として数の力で押し通す。こんな姿が様々な場面で当たり前のようになっている。

 かつてはこうではなかったように思う。普天間基地の返還・移設が現実の課題となった20数年前、移設先についての、時の政府と現地の考え方には今回と同様大きな隔たりがあったが、それぞれの立場に立っての、時には涙を流しての真剣な話し合いが重ねられたと伝えられている。

 解決がついたわけではなかったが、当時の話し合いの当事者間では、少なくともお互いが敵だという認識はなかったと思う。話し合いもないまま県民投票にまで進み、その結果も意に介さず既定路線を進める対立の姿に、力あると自負する者は、先ずは謙虚に相手を認め、課題解決は話し合いを通じてという原則に立った対応をしてほしいと願う。

(カナダ友好協会代表)

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