2026年06月24日(水)

コラム・エッセイ

青天の霹靂

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 美しい笑顔とダイナミックな泳ぎで、健康美の象徴として最も相応しいと感じていた競泳の池江璃花子選手が白血病発症という突然の報道。まさに青天の霹靂、驚天動地。日本の株価が一斉に下げとなってもおかしいと感じないほどの驚きだった。

 聞かされた方も、まさかと信じられない思いなのだから、つい先月まで海外での訓練に励んでいたご当人には、なんで今、私がと、受け入れがたい思いでいることだろう。しかし全てを現実と受け止め公表し、周囲からの励ましや心遣いに感謝しながら、回復を信じて治療に専念すると決意を表す18歳に、どうかご自身の、そして気遣う全ての人々の願いに応えて、完治の日を迎えることが出来るようにとお祈りする。

 来年に迫ったオリンピック、その晴れ舞台で持てる力を存分に発揮する姿を見せることを目標に、日々鍛練を重ねてきたのだろうが、もはやオリンピックのことなど視野から消し去ってしまえばいい。ただただ病の完治、それだけに専念した生活設計をしてゆけばよい。

 人生90年。これまでの18年を差し引いてもまだ70年以上。新しい目標を定めて再チャレンジしながら有意な人生を送る時間は十分にある。それに、これだけ周囲に活力を与えてきた彼女が、次にどのような道を選ぶにしろ、好意を持って暖かく支える環境はいつも用意されていることだろう。

 今周りがすべきことは病克服のための支援と祈りで、1年半後に迫ったオリンピック大会での現役復帰に向けて頑張れなどと励ましてはいけない。

 それにつけても五輪担当大臣の「がっかりした」発言。選手をメダル獲得の手持ちの駒としか見ていなかったことを表すひと言で、発したご当人とは違った意味で、聞く者を「がっかり」させた。
 もちろん多くの人の同選手への関心はオリンピック大会でのメダル獲得だったから、それが期待薄になった状況にはかの大臣でなくても「がっかりした」思いはある。しかし政治家が、まして大臣がそれを口に出してはいけない。

 政治家は言葉が命。言葉の力で国家を運営する仕事に携わっている。たとえ自分の気持ちに正直であっても周囲をがっかりさせるような言葉を発すると、その人の言葉に命運を委ねている国民をがっかりさせ、その人の発する言葉の全てに信頼を失わせることになる。国のリーダーたらんとする人は、自分の言葉に責任が持てるよう、常に気を張り詰めていなければならないと思う。

(カナダ友好協会代表)

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