コラム・エッセイ
いいこと×4
新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子暑い。梅雨入りはいつだったのか、もう明けたのか、いつ明けるのかと、季節の巡りを感じる意味も無いほどに、天気予報のカレンダーは夏日猛暑日で塗りつぶされている。
瑞穂の国日本で、弥生飛鳥の時代からこの時期は国中挙って田植えの季節で、整然と苗が植え揃えられた水田が、やがて黄金色の稲穂に満ちた実りの秋を迎える光景に思いを馳せる、そんな風情を少し楽しむのが、日本の安心の源でもあったと思う。
今年はのどかな風情よりも、これが5キロ何千円になるのだろうの方に気持ちが奪われてしまい、こんな日本になったのは全て地球温暖化とA国T大統領のせいだと決めつけて、しばらくは続きそうなうっとうしい酷暑の下で気分不爽快に耐える覚悟を固めていた。
ここに来て、天の采配はいかに絶妙でバランスの取れていることかと思わせる状態が出現して、覚悟していた酷暑梅雨の難行苦行の不爽快の思いを一掃してくれている。
不爽快を打消して爽快にするバランスだから、いいことが起こったに決まっている。しかも一つや二つではない。二週間足らず、ほんの十日ほどの間に、自分の身の周りにこんなにいいことが続いていいのだろうかと思うほど押し寄せてきた。こんなことがあるのかと偶然重なる不思議さに驚いているが、独り占めではもったいないので、お裾分けにご紹介したい。
まず最初は、先日報告した我が身の話。突然感じた心臓の痛みに駆け込んだクリニックで心筋梗塞の疑いを指摘され、大病院で心臓にカテーテル挿入しての徹底検査の結果「大丈夫、異常なし。きれいな立派な心臓」と安心安全宣告を受けた。
その喜びを噛みしめた次の日の朗報。苦難を克服して晩学の研究生活を送るS君が不安な思いで応募した研究助成に採用決定され、助成金が得られることになった。大学入学前から近くで見守ってきて、孫のように感じているので、自分の家族のことのように嬉しかった。
そしてまたまた数日後、我が家で学んだOGで今は東京の大企業社員のTさんから、幹部社員登用試験に合格し晴れて管理職の椅子に就いたとの知らせ。幼い頃から利発だった才色兼備のTさんの活躍の姿を想像し、こちらも、自分達には孫はいないが、実の孫のことのように嬉しい。
さらにもう一つ。少し若い友人のKさん。同居する100才に近い高齢のお母さんの介護をしながら、いつも明るいKさんとは時には助け合い、気持ちのいい隣人のお付き合いの仲。最近内臓に出来た小さなポリープを切除したが、これが癌と判明。でも、これ以外には癌はなく、全身精密検査でも転移はなく、完治の判定。良かったねー。両親とも癌で亡くした私には我が事の嬉しさ。
こんなことがあるのだ。こんな短期間に次々と良いことばかり四つも。心臓以外は自分のことではないが、家族のことのように思えるそれぞれの慶事を祝いながら、湿気と暑さの不快さを爽快に一掃してくれた天からの贈り物を、反芻しながら繰り返し味わっている。
(カナダ友好協会代表)
