2026年09月30日(水)

コラム・エッセイ

戦後80年

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 異常気象に農政混乱、政権不安に、ウクライナ戦争、中東戦乱、トランプ関税、オータニさん。

 日々話題は尽きない酷暑だが、やはり毎夏のこの時期、しかも昭和100年、戦後80年となれば、この日を考えないわけにはいかない。上皇陛下が「日本人が忘れてはならない日」と挙げられた4つの日。

 6月23日の沖縄地上戦闘終結の日、8月6日広島への原爆投下日、8月9日長崎原爆投下日そして8月15日はポツダム宣言受諾による太平洋戦争終結(敗戦)日。第2次大戦敗戦を受入れた8月15日と、そこに至る過程で大きな犠牲を強要された3つの日。

 この時代を生きた人、それにつながる人にとって忘れられない日は他にもあるだろうが、「日本人にとって」と挙げるとなるとこの4つの日を共有することに、誰が挙げたかにかかわりなく、異論は少ないと思う。もちろん歴史上重要な日は数え切れないほどあるのだが、今生きている日本人が忘れてはならない、記憶しておかなければならない日となると、どうしても第2次大戦にまつわる日となる。

 日本社会を変えた重要な日としては社会の仕組みの基本を定めた憲法制定も最重要になるが、憲法は忘れてはならない記憶しておかなければならない対象ではなく、現実に生きているものだから、意味合いは違ってくる。4つの日はいずれも日本の戦争にかかわるもので、これらがなぜ「忘れてはならない」と強調されるか、直接お伺いしてはいないが、自分なりに推察すれば、そう強調しておかなければ忘れるからだ。

 しかも、それらを実際に体験し伝える人がいなくなれば、体験として記憶を持たない人は事実さえも簡単に忘れてしまうことは、周囲に起こる様々な事件、出来事について明らかだ。

 忌まわしい思い出も古い昔のことは自分自身のことでさえ正確な記憶は残り難く、ましてや人の不幸な出来事が記憶に残ることはより少ない。戦争の記憶がなぜ大切か。戦争の悲惨さを語り伝えていくことがなぜ必要か。戦争の悲惨さの記憶を失うことは戦争の再発につながるからだ。

 戦争はなぜ起こるか。戦争は正義の衝突の形を装うが、戦争はやむにやまれず起こるのではなく、利益追求の結果起こる。戦争で儲かる、戦争で利益が得られると考えている人間が起こす。戦うのは兵士だが、兵士が戦争を起こすのではない。そして庶民が犠牲になる。この構図はどの戦争でも変わらない。

 戦争で利益を上げる人間は決して犠牲者にはならない。戦争で利益を得る者に戦争を起こさせないようにするためには、庶民が戦争の悲惨さの記憶を共有しておくことが絶対に必要。戦争で何が起こったか、原爆投下が何を起こしたか、敗戦後の生活がいかに惨めだったか、記憶のある者は記憶を伝え、伝えられた者は守り広げ、戦争を目論む者をのさばらせない意志を高め合っていかねばならないと思う。

(カナダ友好協会代表)

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