2026年05月01日(金)

コラム・エッセイ

AI不老不死

新しい出会いに向けて-この町・あの人・この話- 浅海道子

 きょう9月1日は防災の日。102年前の関東大震災の惨状を忘れることなく、災害に備えようということだが、戦争記憶と同様に年々薄れてゆく大地震の記憶を辿るまでもなく、30年以内には80%程度の確率で南海トラフ大地震が待ち構えているから、防災意識はますます高めておかなければならない。

 地震に限らず、酷暑、豪雨に、上陸直前に突如出現する台風。一向に収まらない新型コロナウィルス感染症に、はしか、百日咳。力任せの侵略戦争、恐喝関税、高騰米価に囲まれて迎えた人類史上かつてなかった百年人生。

 生物としてこの世に生きる喜びを心ゆくまで満喫できる状態を迎えたはずの命の流れに水を差すような自然と人の営みに、やりきれなさと、やはり何事も自分に都合よくばかりは運ばないと素直な諦めも必要と感じるが、それでも「その時」を迎えたくはない、こっちにおいでと招かれて、いやだいやだとだだをこねたくないと、恐らく多くの人は思っているだろう。私もそう思う。

 不老不死は自己繁栄と並ぶ、人の願望の最大共有項の一つだろう。不老不死を求めて多くの空しい努力が重ねられてきたことが伝えられているが、望まれずに失われていく命を救うための医療技術開発、健康増進、衛生環境改善のための研究は今も変わることなく続けられている。

 伝えられるところでは、最近の研究は失われていく命を長らえる「不死」の領域よりも命の失われる直前まで病むことなく活動を維持出来る「不老」の領域に関心が強まっているとも言われるが、それでも「老」と「死」を神に逆らって拒絶する領域に達するのは、想像することも難しく、人の力で果たせるものではないと思っていた。

 でも、そうでもないかもしれないぞと思わせるような変化が起こっていると感じる。このところ発達進化が著しいAI技術。膨大に蓄積されたデジタル情報を基にして生成AIは人と変わらぬ論理思考をし、判断力を備えるという。

 外見表情音声を真似ることも創造することも出来るようだ。AI技術を総動員したフェイクニュースが世界中に溢れている。これに立体画像を任意に作り出す技術が加われば、ある人そっくりの立体画像を作り上げ、自律して行動させ、考え、判断させることも可能になるだろう。

 たとえ本人が死んでも、生前の言動データが蓄積されていれば、生前そっくりに行動し、思考し、成長さえできる。こうなると生命の再現という神の領域は侵さないが、事実上、命は永遠に失われることなく、社会の中でその人は生き続ける。

 医療技術・倫理の進歩の成果でなく科学技術進歩の成果として不老不死が事実上達成されるという、そんな空想が湧いてきたのは酷暑で熱せられすぎたの細胞の暴走だろうか。

 それにしても、まだまだ続きそうな残暑厳しい温暖化のこの空。

(カナダ友好協会代表)

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