コラム・エッセイ
第1回 100年前に起こった感染症―スペイン・インフルエンザ
大正期 スペイン・インフルエンザと山口県の人々 小林啓祐2020年はコロナ禍によって日本中が大混乱となりました。ではなぜ、こんなにも混乱したのでしょうか。その要因の一つに、今回のウイルスが「新型」であって、どのように対処すればよいのかよくわからないことがあるのではないでしょうか。
現在は、コロナ禍に対してある程度どのように応じればよいかがわかりつつありますが、なお予断を許さない状態は続いています。本欄では、こうした状況をふまえて、100年前に日本で起こったスペイン・インフルエンザの山口県内での流行模様をみることで、現代に生きる私たちがどういうことを学べるか、を感じ取っていただきたいと思っています。
速水融によれば、スペイン・インフルエンザによって全世界で数千万人、日本でも50万人もの死者が出たと言います。
今回、山口県の当時のことを知るのに用いたのが『防長新聞』です。創刊は1884年で、戦時中に一時的に名前が途切れましたが、1978年まで山口県紙として発行されていました(名前はその後、他紙に使われたことがあります)。
毎日発行されていましたので、当時の様子がよくわかります。現代に生きる我々は結果を知っていますので、当時の記事を読むと、なぜそんなことするんだろう、どうしてこうしないんだろう、と思うこともあるかもしれませんが、当時の人たちは感染症対策の結果など知るよしもありません。
次回以降、スペイン・インフルエンザという未知の感染症にどのように対応していったか、当時の雰囲気を疑似体験していただければと思います。
■参考:速水融『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』藤原書店2006年
【プロフィール】
徳山大学経済学部准教授 小林啓祐(こばやし・けいすけ)
徳山大学経済学部准教授 1980年千葉県生 専門は日本経済史、都市史
1918年10月24日『防長新聞』1面=山口県立中央図書館所蔵
