2026年06月06日(土)

コラム・エッセイ

第5回 スペイン・インフルエンザに襲われる周南地域(1)

大正期 スペイン・インフルエンザと山口県の人々 小林啓祐

 前回、山口町(現山口市)だけでなく、スペイン・インフルエンザが山口県西部に広がっていく様子を本欄でみました。しかし、もうすでにその時点で山口県東部、周南地域にもその猛威は広がっていたのです。今回は山口県東部の発生状況についてみていきます。

 山口中学校(現県立山口高校)の臨時休校が報じられた4日後、1918(大正7)年10月26日には、『防長新聞』上でほぼ毎日「各地の流行性感冒」という記事が組まれるようになります。『防長新聞』もその重要さを認識したのでしょう。そして、27日に、「徳山地方」の感染状況が掲載されます。

 記事では、「漸次徳山地方に侵入し来り徳山町民にて冒さるゝもの頗る」として、徳山中学校(現県立徳山高校)では生徒約30名、岐陽小学校(現周南市立徳山小学校)では40名が罹患したといいます。両校ともに休校が決定されたものの、「益々猖獗(しょうけつ)」とあるので、これからもっとひどくなるとの見込みでした。翌28日には、岩国町(現岩国市)と防府町(現防府市)、柳井町(現柳井市)の状況が載ります(詳しくは次回)。 岩国町では、数日前から軽工業者の「義濟堂」の寄宿舎に住む女工さんたちが罹患し、織布部と製糸部あわせて70名が床に臥せってしまい、業務に支障がでてしまっていました。こうした状況は同社だけではなかったようで、インフルエンザにほとんどの労働者が罹患してしまったような会社もあったようです。おそらく、業務に支障どころかストップしてしまったことでしょう。多くの人が集まる場所であれば、一気に広がっていったのです。

 インフルエンザだけではないですが、感染症は老若男女、誰にも襲ってきます。特に、色々な人と会う人たちはそのリスクも高まるようです。10月28日、当時の中川望山口県知事が罹患したことが報じられます。このあとも、次々に罹患者は増加していくことになります。

1918年10月27日『防長新聞』

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