2026年06月06日(土)

コラム・エッセイ

第12回 マスクをつけよう!―スペイン・インフルエンザ予防

大正期 スペイン・インフルエンザと山口県の人々 小林啓祐

 前回、山口県にスペイン・インフルエンザの第二波がやってきたことを紹介しました。そして、その「予防心得」の前半を紹介しましたので、今回は翌日に掲載される後半部をご紹介していきます。

 1919(大正8)年11月30日の『防長新聞』には、前日同様大きな文字で「感冒来(二)」が掲載され、「予防心得」の続きが冒頭から掲載されます。前日掲載分では、くしゃみなどから伝染するので、みだりに近づかないことが書かれていましたが、この日の最初に書かれたのは、「たくさん人の集まっているところに立ち入らない」でした。たくさん人の集まるとされた場所は大正時代ということもあって、「芝居、寄席、活動写真」でした。今でいう「密」が発生する場所の代表がこれらの場所だったのでしょう。そして、急用でない場合は電車にも乗らずに歩いたほうがよいと付け加えられています。

 そして、三番目に書かれていたのは次のようなことでした。

 「人の集まって居る場所、電車、汽車などの内では必ず呼吸保護器(レスピレーター又はガーゼマスクともいふ)を掛け、それでなくば鼻、口を「ハンケチ」手拭などで軽く被ひなさい」

 そうです、今回スペイン・インフルエンザ関係記事を探した中で、はじめて「マスク」という言葉が出てきます(回を改めてマスクについては採り上げたいと思います)。第一波の時にはさほど予防策として注目されていなかったように見えるマスクでしたが、第二波では早速登場します。一緒に登場するレスピレーターも形状こそ少し違いますが、口を覆うものです。「呼吸保護器」と書かれているのをみると、まだ一般的に「マスク」という言葉が広まっていなかったことがわかります。

 さらに「ハンケチも手拭もあてずに無遠慮に咳する人」からは距離をとるように、とされています。すでにこの時代において、ソーシャルディスタンスについて注意喚起していることは興味深いところです。

 この後は、よくうがいをすること、罹患したら安静にすることなどが書かれます。第一波の時、感染が広がる前の記事ではさほどインフルエンザを恐れていない様子だったことを本欄でも紹介しましたが、第二波の時は最大限の注意が払われていたことに大きな変化を見ることができます。ただし、それで蔓延(まんえん)が防げたかというと、そうではなかったようです。この後、インフルエンザは急速に山口県内で蔓延していくのです。

『防長新聞』1919年11月30日=県立山口図書館所蔵

LINEで送る
一覧に戻る
今日の紙面
西京銀行

【取扱期間 2026年4月1日~2026年9月30日まで】お預け金額10万円以上。手続き不要!さいきょう定期預金の金利で満期後自動継続。詳細は西京銀行までお気軽にお問い合わせください。

東ソー

東ソーが生み出す多種多様な製品は、社会インフラや耐久消費財など人々の生活に役立つさまざまな最終製品に使われています。総合化学メーカーだからこそできる、化学の革新を通して持続可能な社会に貢献していきます。

サマンサジャパン

来院者の方へもっと目配り、気配りをしたい。物品の補充や搬送に時間を取られる・・・
サマンサジャパンでは医療従事者の方がより医療に専念できるよう、コンシェルジュ、受付、看護助手、清掃、設備など様々な業務を行っています。

周南公立大学

2024年春、周南公立大学は新学部学科を開設しました。経済経営学部(経済経営学科)、人間健康科学部(スポーツ健康科学科・看護学科・福祉学科)、情報科学部(情報科学科)の3学部5学科体制となりました。大学の活動や入試情報も随時公開中!