2026年06月06日(土)

コラム・エッセイ

第18回 スペイン・インフルエンザによって売れた「薬」

大正期 スペイン・インフルエンザと山口県の人々 小林啓祐

 前回、山口県におけるスペイン・インフルエンザの「第二波」が終息したところまでご紹介しました。今回からは、スペイン・インフルエンザが山口県内の社会経済に与えた影響についてトピックごとに紹介したいと思います。すでに、運動会などのイベントが中止ないし延期になっていたことや、医療がひっ迫している状況について紹介しましたが、今回は、スペイン・インフルエンザが猛威をふるうなかで「よく売れた物」について紹介していこうと思います。

 2020年から続くコロナ禍のなか、記憶に新しいのが「マスク」の売り切れだと思います。周南地域はもとより、山口県内、ひいては日本全国の店頭からマスクが消えました。それは、もちろん人々が罹患しないため、ウイルス蔓延を防ぐためとった行動だったわけですが、100年前はどのようなものが売れていたのでしょうか。ちなみに、マスクについては第二波のときによく売れるので、別の回に特集したいと思います。今回とりあげるのは「薬」です。

 写真の記事が、第一波の初期によく売れたものを報じる記事です。忙しいのは「お医者様と売薬商と氷屋」とあります。氷は次回にするとして、まずは薬屋さんに注目してみましょう。さて、どのような薬が売れていたのでしょうか。記事では具体的な名前が出てきています。風邪薬としてよく売れているのは、「アンチピリン」と「ヘブリン」だが、今回は「アスピリン」が最もよく売れているとあります。アンチピリンとアスピリンは今でも聞く解熱剤ですが、ヘブリンはちょっと聞かないかもしれません。参天製薬のHPを見ると、「かぜ薬」ヘブリン丸として1890年に売り出したとあります。つまり、ここで紹介されている薬はどれも風邪薬ということになります。買う人はインフルエンザに罹った人だけでなく、用心のために買う人もいたということですから、よく売れたでしょう。結局、アスピリンの値段もあがってしまったとのことでした。

 この時代の医療事情に詳しくない人にとっては、薬で治そうとしていること自体、意外と思った方もいらっしゃるかもしれません。江戸時代は対処療法が多かったのですが、この時期には薬によってより積極的に疾病を治そうとしている姿がよくわかるのではないでしょうか。

1918年11月4日『防長新聞』=県立山口図書館所蔵

LINEで送る
一覧に戻る
今日の紙面
出光興産

出光興産徳山事業所は、エネルギーと素材の安定供給を通じて産業や暮らしを支えています。環境負荷低減や安全操業に取り組み、地域とともに持続可能な社会の実現に貢献していきます。

西京銀行

【取扱期間 2026年4月1日~2026年9月30日まで】お預け金額10万円以上。手続き不要!さいきょう定期預金の金利で満期後自動継続。詳細は西京銀行までお気軽にお問い合わせください。

サマンサジャパン

来院者の方へもっと目配り、気配りをしたい。物品の補充や搬送に時間を取られる・・・
サマンサジャパンでは医療従事者の方がより医療に専念できるよう、コンシェルジュ、受付、看護助手、清掃、設備など様々な業務を行っています。

株式会社トクヤマ

トクヤマは、電子材料・ライフサイエンス・環境事業・化成品・セメントの各分野で、もっと幸せな未来をつくる価値創造型企業です。