コラム・エッセイ
No.31 素晴らしきひとたち
美人薄命 走れ!おばさん 中村光子悪友O氏が、高級酒持参で遊びにきた。その高級酒の銘柄は失念したが、度数40度の焼酎である。彼は時々「オーイ飲もうやあ」と、やってくる。
いそいそと酒の肴を作ろうとすると「肴はいらん、焼酎がありゃあええ」と言う。美味しく酒を飲むには、沢山の小皿につまみが欲しい…のに。
その日は、高級焼酎だったからか、珍しく、のどぐろの干物を持参した。滅多に高級魚を口にすることのない私は、博学・博識の彼の話に相槌を打ちながら、骨の髄までしゃぶった。
O氏とは詩仲間で、かれこれ50年の付き合いだ。『詩稿とくやま』という詩誌で、詩を書き、口角泡を飛ばして激論した。その主宰者が亡くなり廃刊したが、O氏は『DAN』を創刊し、毎月発行している。
私は敬愛する詩人礒永秀雄主宰の『駱駝』が廃刊後、女性同人4人で『らくだ』を立ちあげたが、仲間が次々に亡くなり155号で廃刊。
いったん、詩から離れると、詩を書くエネルギーを失う。今は、だらだらとこの駄文を書いているが、この駄文も怪しくなり、潮時を考えている昨今だ。
O氏持参の焼酎をグラスの底に1センチほど入れ、大量の水と氷を投げ入れ、チビリチビリ飲みながら、O氏の含蓄に耳を傾ける。至福の時間だ。
そこへ、友人のM子さんが来た。彼女は私に用事があって来たのだが、O氏が美人のM子さんを帰すわけがない。「少し付き合ってあげて」と、私はいそいそとコーヒーを入れた。
彼女は、その日、広島へ映画を観に行くことにしていたが、コロナ禍で断念したと言う。
「何と言う映画?」
「『ドライブ・マイ・カー』という映画で、私、エキストラで参加しているのです」
その作品は、カンヌ映画祭で、日本初の脚本賞を受賞した作品で、私は、2、3日前の新聞で知ったばかりだ。
M子さんは映画評論家を目指している。すでに、雑誌などに評論を書いていて、何度か読んでいる。私のように娯楽で見る映画好きとは、ちょっと、いや、大いに違う。陰ながら応援をしている。
「その内、周南地区にも来るわよ。その時は、是非、私も誘って下さいね」
ちゃっかり屋の私は抜け目がない…です。
いや、はや、私の周りには、あらゆる分野で、活躍しているひとの多いことです。しかも寡黙で、ひたすら学んでいる。
何故か、そういうひとをたくさん知っている。私はそのひとたちの周辺を、うろちょろしているばかりです。
