コラム・エッセイ
No.19 ららら…でも…私は…無知です。
美人薄命 走れ!おばさん 中村光子メグと周南市役所へ行った。メグは無知な私が申請する、マイナンバーカードのための付き添い人だ。
「メグ、市役所へ行ったことある?」
「はじめてよ」
計算に弱い私は、役所からの書類、税務署へ出す申告のたぐいまで、全てひとまかせだ。夫の生存中は、洋服販売は私、経理は夫と、分担していた。夫亡き後も、店を手伝ってくれた友人たちが、経理に長けていたので、全く不便はなかった。
昨年の暮れ、サンデー毎日の服屋を廃業した。苦手な経理から解放され、肩の荷がおりた。
さて、世の中、マイナンバーカード時代、いや、そういう時流に乗り作ることになった。
ある日、友人の経営している美容室で、そのことを嘆いたら、店主は事もなげに言った。
「娘のメグは申請したわ。教えて貰ったら」
やさしいメグは我が家に来ると、居ながらにして、携帯電話で、あっと言う間に申請してくれた。世の中、便利になったようだが、私には、とうてい太刀打ちの出来ない世界だ。
メグの両親は、国際結婚(この言葉も古いかなあー)である。私は、日本人の母親のお腹にいた頃のメグと知り合いだ。彼女は今、アメリカの大学2年生だが、日本に帰省中である。
メグは市役所は初めて、と言うので、私は威張って案内したが、その後の、役所の担当者とメグの会話にはついてゆけない。トホホ。
「歳のせいもありましょうが、おっしゃることの半分も理解出来なかろうと、友人の娘さんに助けてもらうため、同行をお願いしました」
「いや、僕も今年、役所に入ったばかりで最初は戸惑いましたが、やっと慣れました」
私たちを安心させるやりとりの後、役所の若い男性の、親切で丁寧な説明と、メグの助けで、なんとか、事なきを得たのである。
市の職員の納得ゆく説明と、それに答えるメグの態度に感銘した、走れ!おばさんは、親しみを込めて、密かに役所の彼を五衛門と呼ぶことに決めた。
「メグありがとうね。あなたと五衛門氏の対応で、本当に助かったわ、感謝します」
五衛門氏は、私の無知な質問にも、誠心誠意に答えて下さり、無事に手続きは完了した。おまけに、お見送りまでして下さった。
ついでに、コロナ予防接種が市役所で受けられることを知り、予約申し込みの方法も教えてもらった。
案ずるより産むが易し、という諺(ことわざ)が、思わず口をついて出た。
帰途、メグとステップしたい気分であった。
