2026年10月24日(土)

コラム・エッセイ

32 久し振りの美術館めぐり

美人薄命 走れ!おばさん 中村光子

 読書の秋、芸術の秋、スポーツの秋、食欲の秋。羅列すればきりがない。教養編から書いたのは、私の見栄だ。


 ここ1カ月の間、広島と山口の美術館で、印象派の絵画展を続けて観ることが出来た。


 ひろしま美術館では「印象派・記憶への旅」を、山口県立美術館では「ヨーロッパ絵画・美の400年」で、偶然にも、印象派を中心としたものだった。


 ひろしま美術館はポーラ美術館との共同企画展だ。両美術館は印象派を中心とした、西洋近代美術を所蔵しているという共通点があり、密接な交流がある、と言う。


 私はそんなことを知るよしもない。ひろしま美術館には、ポーラ所蔵の、クロード・モネの「セーヌ河の朝」と、ひろしま所蔵の「国会議事堂・バラ色のシンフォニー」が展示されていた。モネの一番制作旺盛時期の作品という。


 モネが大好きな私だが、モネ、イコール、水蓮、という程度だ。2作品共、水面を広く描いたものであった。尊敬する画家、澤野文臣は私の叔父だが、叔父の言葉が忘られない、


 「川の水面(みなも)を描く事は川底を表現することです」


 その言葉を思い出しながら、2つの作品の前で、いつまでも立ちつくしていた。


 対して、山口の美術館は、東京富士美術館コレクションで、400年のヨーロッパ絵画の推移が、誰にでも理解出来るよう展示されていた。美術館入口は長蛇の列で、場内も見学者でいっぱいであった。行儀良く順番を待っていたら日が暮れる…と判断した私は、行列の背後の隙間から眺めた。時代を追っての展示で、写真技術のない時代は、王族、貴族にはおかかえ絵師がいた。その頃の画家を知らない私は、威厳に満ちた紳士淑女に微笑みかけながら通り抜けた。


 時代を追うごとに、色彩の透明感や表現の豊かさに足が止まった。その頃になると、名前を知っている画家の作品が並んでいるのだ。


 やがて、庶民の暮らしや風景画などになり対象物に向き合う画家は、内面に深く入り込む、心理描写の作品へと移行した。


 しかし、展示の仕方が早急すぎて、私は頭の切り替えに戸惑ってしまいはじめた。だが、見方を変えれば400年という長い変遷を、短時間にまとめたのだ。絵画に造詣が深かったならば、省略も、空白も自分の知識で埋めて楽しむことが出来るのだ。作品の前から動かず腕組みしているひとを横目で見ながら、質問したい気分だった。


 自分の無知、もっと勉強しようと思いました。 

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