コラム・エッセイ
No.46 久し振りのご馳走
美人薄命 走れ!おばさん 中村光子この雑文が、今年最後の原稿だ。編集長から来年の初稿掲載日のお知らせ電話があった。
「おや、まだ、書かせてもらえるのかー」
最近、書きながら、瑣末な文章に辟易している。その上、漢字の度忘れで、辞書が手離せないことも自覚しているから、思わずひとりごとが出てしまった。書くことで迷惑がかかることを、一番心配している。いつ断られても、と自分を律している。
副題は、2年に1度かえることにしている。この2年間は“美人薄命”としたのだが、令和3年もどうにか越せそうだ。美人なのに、だが、今年もあと半月あるので、先のことはわからない。
只今、我が家の水回り、水道の工事中である。古い建物のうえ、貸店舗も、何度もかわっているので、痛みが激しい。あっちやらこっちやらに不具合が生じている。
「市営住宅に入居したい」と、友人に愚痴ったら、ポロ家でも自分の家のあるひとは駄目だと言った。出るのはため息ばかりだ。
そんな私を見かねたのだろう。友人が
「今晩、我が家で食事しよう」と誘ってくれた。うれしい私は、ふたつ返事で応じたのは、言うまでもない。
その友人、K女史はとても博識で、世界の政治・経済から、友人・知人の日常生活の行動にも精通している。対して私は、彼女と全く反対だから、いつも彼女を、尊敬のまなざしで仰ぎ見ている。
おっと、それだけではない。ボランティア活動はもとより、社会にも貢献しているのだ。その上、料理上手、それも創意工夫を凝らした創作料理だから、私など足元にもおよばない。
その日、久し振りの外食、お呼ばれに興奮気味の私は、夕方、5時にもならぬうちに「どうせ行くんだから、少々早くてもかまうものか」と、早々に出かけたのであります。
行く道々には街路樹の落葉が散り敷いており、カサコソと快い響きだ。手ぶら訪問の私は、色づいた落葉を土産にしようと、思いついた。赤や黄色など濃淡の落葉をひろい集めながら歩いた。
K女史宅の長い廊下の無地カーペットの上に、持参の落葉を散りばめた。思わぬ演出が功を奏したので、私の低い鼻が、久し振りにひくひくと動いた。
食卓に、並びきれぬ程の手料理に、いつも貧しい食事の私は、息つく間もないほど、ガツガツと頬ばった。
帰り、駅前広場や御幸通りには、ツリー祭の電飾が色取りどりに灯り、送りがてらに歩いたK女史と歓声をあげた。
