2026年10月24日(土)

コラム・エッセイ

No.51 住めば・何処でも都だあー

美人薄命 走れ!おばさん 中村光子

 私の住む有楽町には駐車場がいくつあるかな、と町内を1周した。ナント・19カ所あった。

 私が嫁して来た頃の有楽町は、下町の歓楽街だった。なぜか、洋画専門の映画館があった。結婚前のうら若き乙女の私は、有楽町などに行くことはないが、どうしても観たい映画がある時は、友人と誘い合って観に行った。

 昔の話で申し訳ないが、私の結婚は、母のように慕っていた親戚の叔母の言葉で決まった…のである。

 「みっちゃん、好青年がいるのよ。うちの身内の娘や、良家のお嬢さんが候補にあがっているけど、あんたどう?この良縁を断ったら私、もう知らんからね」

 叔母は、宿題を見てくれたり、算数の教科書が行方不明の時、書き写してくれたりと、世話になっていて、嫌が言えない。迷っている間に、縁談は勝手にまとまってしまった。秘かに冒険結婚と呼んだが、その通り、波乱万丈の人生…だった。

 おっと結婚話ではない。ちょっといい話を書くつもりなのに、いつも何故か脱線する。歓楽街だった有楽町も時代と共に寂れてしまい町内の店も廃業・倒産閉店し、洋画館も今は駐車場だ。

 住人も少なくなり、全く知らないひとが住んでいる。そのひと達は、町内会にも入らず、ゴミ出しの日も知らない。洗濯ものを干す竿もないのか、道筋の空店舗の軒先につるし干しだ。

 見栄えが悪いから注意…したいが、その勇気もない。古くからの住人の方が、小さくなって暮らしている。

 「最近、T夫人見かけないわねぇ」

 「あの方、遠くの施設に入居されたそうよ」

 「エッ、お隣りのおばあちゃんは?」

 「去年の暮れに亡くなられたようよ。でも、家族葬だったので、誰も知らなかったのよ」

 会えば、こんな話に終始するようになった。

 先日、有楽町の総会があった。私は、自分が班長の時は、何はさて置き出席するが、班長の役目が終わると、総会日と、自分の用事が重なると、自分の用事を優先してしまう。心では悪いなあーと、思ってはいるが…。

 昨日、総会終了後に班長が、1枚の報告紙と封筒を持参された。

 “今年も新型コロナ拡大により、自治会活動も行事も中止が続くので、感染対策支援金をお配りすることを決定しました”という内容の紙と、封筒を差し出された。

 封筒は“金一封”入りであった。それも、私の想像をはるかに越えていた。有楽町内会始まって以来の英断だ。

 金一封で言うのではない。有楽町は良い町だあ。

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