2026年10月24日(土)

コラム・エッセイ

No.68 爆音は…あと追いするのですネ

美人薄命 走れ!おばさん 中村光子

 6月5日、航空自衛隊防府北基地で「幸せます防府北」というキャッチフレーズのイベントがあった。抽選で当たった1万人は基地内で見物出来るのだ。

 友人のS夫妻の子息は、宮崎の航空自衛隊所属の自衛官であり、それもF-15戦闘機の隊長だ。彼の母上は会場チケットが当たりますようにと、私の分も含めて葉書を出されたが、ハズレであった。

 「自衛隊の、しかもF-15の隊長の家族でもはずれるの?」

 秘かに期待していた私は、ついつい暴言を吐いてしまった。

 その日の天気は曇りのち雨であった。私たちは娘の友人の車で出かけた。場内の様子はわからないが、場外は抽選に漏れた観客であふれていた。

 パトカーは道路沿いに駐車している車に対して、駐車禁止をうながしながら周辺の道路を行き来する。

 幸い、我々の車は道路が大きくカーブした先の、わずかな隙間に車を寄せることができた。「まあ、その程度なら」と見逃してもらった気がしないでもない。それほど見物客が多かった。カメラ、それも望遠レンズの大きな機材をさげた人で休耕田も田の畦道(あぜみち)もあふれていた。

 我々は雨の中、田の畔づたい、用水路の脇道などを用心深く歩いたり、娘の手を借りたりして基地の外側にたどりついた。時折、雨は横殴りに降る中、午前と午後の航空ショーを辛抱強く待った。

 “陸自訓練飛行”“機動飛行”“ブルーインパルス飛行”などを見たが、何の説明も聞けず、飛行機に無知でこれを書いているので聞きかじったことも話せず、残念。

 ブルーインパルスの5機は我々の頭上を旋回したり、まっ逆さまになったり、横向きになったりして飛行する。雨傘を放り投げて飛行機(?)を見上げる。すると地球を揺り動かすような大爆音が、我々を時差攻撃する。驚き大あわてで耳を塞ぐがまったく効果なしだ。

 我々の場所から10メートルばかり離れて見物している人に大声をかけた。

 「私たちの場所が真下でしたよ。こちらで見物されたらよかったのに、残念でした」

 「いえいえ、僕たちの所が真下です。あなたたちこそ残念でしたねえ」

 よくよく考えれば、我々の立ち位置から見るブルーインパルスの上空位置が、何キロ、いや何メートル(?)か、想像もつかない。

 上空から見降ろしている隊長からすれば、10メートル、いや100メートル離れていたとしても、五十歩百歩で、真下であろう。

 空の彼方に消え去るブルーインパルスを目で追いながら納得したのであります。

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