コラム・エッセイ
No.25 街路樹考(1)
ねえ、ちょっと聞いてよ! 予備校講師 長谷純子こんにちは。少し前になりますが、4月上旬の平日、ちょうど桜の見頃の時季に徳山高校時代の友人たちと久しぶりに会う機会がありました。福岡在住のSさんが徳山に来るから集まろうよと徳山在住のYさんからの連絡を受けて、新南陽のOさん、宇部のKさんと私の5人が集まったのです。中でも私とOさんとは高校卒業以来、38年ぶりの再会です。同じ徳山在住のYさんでも5年以上ぶり、福岡在住のSさんとは10年くらい? 宇部のKさんとは25年ぶりくらい? の再会になります。が、みんな高校時代の姿そのままです。これにはちょっと感動してしまいました。
で、この時、花見を兼ねて徳山小学校から周南市美術博物館まで続くソメイヨシノの桜並木「緑と文化のプロムナード」を通りました。ちょうど桜が満開から散り初めくらいの状態で、爽やかな青空に向かって真っすぐに伸びる道路の左右に、風に乗って花弁がはらはらと舞い落ちる桜のトンネル。本当に美しい光景です。日本に生まれてよかったと実感する瞬間の一つです。
この桜、ソメイヨシノは実がなりませんから接ぎ木で増やすことになります。このため、ソメイヨシノの遺伝子はどの木も同じ、つまり、クローンだというのは有名な話です。どの木も同じ性質だから、気候条件が同じだと一斉に咲くのだそうです。また、一時期はクローンだから同時期に寿命が尽きて一斉に枯れるという話もありましたが、同じ性質だから同じ病気に一斉にかかって枯死する可能性はあっても、正しい剪定や肥料の投入といった手入れをきちんとすれば寿命が延びるので一概に言えないのだとか。よかったです。ほっとしましたが、気になったのは、この「緑と文化のプロムナード」の桜並木は手入れがされているのかなあということでした。
何年か前なのですが、海岸沿いに通る産業道路の街路樹が全て、本当にきれいさっぱりと撤去されてしまいました。これに関しては「地球温暖化で二酸化炭素の排出量抑制が喫緊の課題になっている今の時代に、二酸化炭素を消費する植物の撤去は時代に逆行してよるね?」と当時から勝手に憤慨しつつ、ずっと気になっていました。が、最近になって撤去せざるを得ない事情もあるのでは、とも思い始めました。というのは、街路樹が倒れたり、枝が落下したりする事故が全国で多発していて、死者も出ていると新聞で読んだからです。そこで、このような事態にならないためにも街路樹には適切な管理が必要になります。が、枝の伐採や葉が落ちたら落ち葉の撤去など手入れ、管理には人手と費用が必要です。
4月14日に都道府県別推計人口と増減率が総務省から発表されました。山口県の推計人口は128.1万人、1.26%の減少だそうです。この減少率は全国第10位、中国地方では一番で、この数字に私はショックを受けました。中国地方で一番って.......と。この人口減少は単純に考えて、労働力人口と税収の減少に繋がります。ですから、もしかすると街路樹の管理に必要な人手や費用がなくて、県道である産業道路も街路樹の撤去になったのでは? と思い至ったのです。もっとも、これは私の勝手な推測に過ぎないのですが。
そして、そこからの流れで「緑と文化のプロムナード」の桜は大丈夫? きちんと手入れはされている? 手入れの人手は足りてる? 費用は大丈夫? と心配になったのです。
周南市の美しい桜並木をいつまでも眺めていたい。周南市民としての切実な願いです。だからこそ、この美しい景観の維持に関して市民としてできることは何か、そもそもできることはあるのかと、最近、ふとした拍子に考えてしまうのでした。
