2025年05月17日(土)

コラム・エッセイ

再々 皐月(一) 

随想 季節の中で 西﨑博史(周南文化協会会長)

 若葉から新緑へ。木々の葉が色を濃くします。季節とともに萌葱から緑、深い緑へと変わっていきます。いよいよ皐月。1日は八十八夜。5日の端午の節句は立夏と重なりました。〈柱のきずは おととしの 五月五日の 背くらべ 粽たべたべ 兄さんが 計ってくれた 背のたけ‥‥〉。大正8年(1919)の雑誌『少女号』に発表された「背くらべ」。海野厚作詞、中山晋平作曲。今でも口ずさめる懐かしい歌です。子どもらの健やかな成長を心から願います。

 花水木が咲き始めました。北アメリカ原産の落葉小高木。晩春から初夏を橋渡しする花です。庭先で白い花をつけ、街路樹では薄紅色の花が目につきます。〈空を押し上げて 手を伸ばす君 五月のこと‥‥〉。一青窈(ひととよう)が歌った「ハナミズキ」。聴衆の心をつかんで早や20年の歳月が流れます。今もよく歌われていて耳にすると心が晴れやかになります。

 八十八夜を過ぎて友人から新茶が届きました。広島でお茶の商いをしていていつもこの時季に手紙を添えてご機嫌伺いを。その心遣いが嬉しいです。〈茶どころと聞かねど新茶たぐひなし〉(水原秋桜子)。かぐわしい新茶は季節の便りでもあります。

 目には青葉山時鳥初鰹  山口素堂

 古俳諧で最も有名な句の一つ。江戸時代は鎌倉あたりで鰹がよく獲れました。鎌倉名物の初鰹。その旨さは江戸人を刺激しました。素堂は江戸前・中期の俳人で豊かな学識は同門の芭蕉にも影響を与えました。

 5月の第二日曜日は「母の日」。今年は11日にあたります。父は厳しく、母は優しく、という印象が私たちの世代にはあるのではないでしょうか。小さい頃に裏庭の柿の木にくくられたり、暗い納戸に閉じ込められたり。いたずらをしたのでしょう。父に厳しくしつけられました。頃合いをみて解放してくれたのは母でした。家を改築して納戸はなくなりましたが、柿の木を見るたびに思い出します。

 母の日のてのひらの味塩むすび  鷹羽狩行

 母の愛情を感じるからか、おむすびにはいろんな思い出が詰まっています。遠足や運動会の折のおむすび。忙しい時に食卓に作って置いてあったおむすび。夜食のおむすびも美味しかったです。今や鮭や明太子、ツナマヨネーズなどが若者に人気ですが、中高年層には塩むすび、梅干しや昆布が懐かしいです。たまにはおむすびと沢庵の食卓も乙なものです。

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