2026年05月01日(金)

コラム・エッセイ

再々水無月(二)

随想 季節の中で 西﨑博史(周南文化協会会長)

 九州北部とともに山口県は8日、梅雨入りしました。毎日のように雨が降ります。紫陽花(あじさい)が雨に映えます。咲き始めて時が経つにつれて色を変えることから「紫陽花の七変化」と言われます。

 紫陽花の藍をつくして了りけり  安住 敦

 「忘れてませんか、父の日のこと。」11日の読売新聞全面広告に目が留まりました。右上に小さくあしらわれた膝を抱えて座るスーツ姿の男性。左下に「母の日、盛り上がってましたね。僕もおかんにプレゼント贈らせてもらいました。そして今、思うのです。父の日は、どうなるのかと。僕、家では父親なんです。一応、もらう側になると言いますか。‥‥」とドキリとする一文が添えてあります。寂しげな一枚の写真とともに胸に迫りました。

 身のまわりの世話をしてくれる母親に比べて存在感の薄い父親の姿を浮き彫りにした広告記事は効果抜群。上手い演出です。「父の日にありがとうを贈ろう。」と呼びかけたユニクロの販売戦略は功を奏したことでしょう。父親の心情を吐露した紙面にほろりとさせられました。

 5月第二日曜日の「母の日」と6月第三日曜日の「父の日」。どちらもアメリカが起源。母の日の存在を知った一人の女性、ソノラ・スマート・ドッドが父の日も作って、と牧師協会に嘆願したことが始まり。アメリカでは1972年、国の記念日として制定されました。母の日はカーネーション、父の日はバラが定番ですが、本人の喜ぶものを贈る家庭が多いようです。15日の「父の日」。あなたのお家はいかがでしたか。

 咲き満ちて雨夜も薔薇のひかりあり  水原秋桜子
 このような存在でありたいなと思います。人生の哀歓や人情の機微に触れた向田邦子の作品は多くのファンを抱えます。『父の詫び状』は父のいる懐かしい家庭の息遣いをユーモラスに描いたエッセイの最高傑作。昭和の時代を生き生きと伝えます。

 「父は身綺麗で几帳面な人であったが、靴の脱ぎ方だけは別人のように荒っぽかった。くつぬぎの石の上に、おっぽり出すように脱ぎ散らした。」

 台湾上空の飛行機事故で急逝した向田邦子。昭和56年(1981)8月22日、52年の生涯を閉じました。44年目の夏がめぐります。

 父や母と別れて何年経っても「お父さん」「お母さん」と呼びたい時があります。親子の情愛でしょうか。今でも父や母を想います。

LINEで送る
一覧に戻る
今日の紙面
山口コーウン株式会社

「安全で 安心して 長く勤められる会社」をスローガンに、東ソー株式会社等の化学製品を安全かつ確実にお届けしています。安全輸送の実績でゴールドGマーク認定を受け、従業員が安心して働ける環境と「15の福利厚生」で従業員の人生に寄り添っています。

スバル合同会計 周南事務所

相続時や建物の購入売却時の相続税・資産税のご相談。
大切に育てた事業の譲渡や事業の拡大にむけて、複数の専門業者との提携で、お客さまの求める結果を一緒に目指します。

東ソー

東ソーが生み出す多種多様な製品は、社会インフラや耐久消費財など人々の生活に役立つさまざまな最終製品に使われています。総合化学メーカーだからこそできる、化学の革新を通して持続可能な社会に貢献していきます。

株式会社トクヤマ

トクヤマは、電子材料・ライフサイエンス・環境事業・化成品・セメントの各分野で、もっと幸せな未来をつくる価値創造型企業です。