コラム・エッセイ
又 神無月(三)
随想 季節の中で 西﨑博史(周南文化協会会長)神無月もあと二日。いよいよ霜月へ。先週は急に冷えました。23日は二十四節気の「霜降(そうこう)」。霜が降るとは上手い表現です。昔の人は早朝にうっすらと霜でおおわれた景色を見て、雨や雪のように空から降るものと考えたのでしょう。霜が降りた日は晴れることが多く、「霜日和」「霜晴れ」などの言葉も生まれました。日本人の感性は素晴らしいです。
23日は雲一つない秋晴れ。「秋は、美術館へ行こう!」のチラシに誘われて山口県立美術館で特別展「歌川国芳―奇才絵師の魔力」を鑑賞。9月25日開幕、10月17日に来場者1万人達成と大人気。この日も賑わっていて人の流れを読みながら作品と向き合いました。武者絵、役者絵、アイデア満載の滑稽な戯画、美人画、風景画と江戸末期に活躍した浮世絵師の技とセンスに魅了されました。午後は秋の日に照らされた山並みを眺めながら徳佐のりんご園に立ち寄って「新世界」と「ぐんま名月」を購入。ほんのりとした酸味と甘さが舌に優しいです。
読書の秋、スポーツの秋、味覚の秋といずれも興味深く、芸術の秋も魅力的。劇場や美術館に足を運ぶと心躍ります。13日の祝日は大阪・中之島美術館の「小出楢重 新しき油絵」展へ。大阪生まれの画家、小出楢重(こいで ならしげ)(1887〜1931)の四半世紀ぶりの回顧展。ホールで学芸員の解説を聴いて鑑賞。静物画や裸婦像で傑作を残した43年の生涯と日本人が求めた「新しき油絵」の世界を堪能しました。昼過ぎに淀屋橋から京阪電車で京阪三条へ。京都市京セラ美術館の「民藝誕生100年―京都が紡いだ日常の美」で食器や家具、着物など日用品に独自の美を見いだした民藝運動の京都との関りを再認識。思想家の柳宗悦(やなぎむねよし)が陶芸家の河井寛次郎、濱田庄司と京都で語り合う中で生まれた運動に深い共感を覚えました。
周南文化協会でも秋は活動が盛んです。9月に周南書道連盟展、周南邦楽連盟演奏会、10月に新南陽地区文化祭、熊毛地区総合文化祭を催しました。11月3日は「文化の日」。文化協会恒例の記念式典で文化功労賞と文化振興賞を授与。その後の祝賀会にも多くの仲間が出席、遠石会館での宴が交流の輪を広げます。支え合って助け合っての活動に笑顔が弾けます。
わがいのち菊にむかひてしづかなる 水原秋櫻子
自らの人生を文化、芸術に託して表現されてきました。その人生を輝かせてきた時と向き合い、感無量の一句でしょう。
