コラム・エッセイ
又 弥生(二)
随想 季節の中で 西﨑博史(周南文化協会会長)春の気分が満ちます。散歩しながら道端に目を落とすとイヌノフグリやホトケノザなどが花を咲かせています。小さく控えめに咲く花はそれぞれに思わぬ美しさを秘めています。日本の春を象徴する桜が咲き始めました。行楽地は花見客でにぎわいます。
まさをなる空よりしだれざくらかな 富安風生
明治、大正、昭和を生き抜いた俳人、富安風生の代表句。昭和12年(1937)、市川市真間にある弘法寺のしだれ桜を詠みました。そこにあるのは桜と空だけ。大きな風景になりました。しだれ桜は美しいです。21日の日本経済新聞別刷り「プラス1」の何でもランキングは「夜空に浮かぶしだれ桜」を取り上げました。福島県三春町の三春滝桜、秋田県仙北市の角館の武家屋敷通り、東京都文京区の六義園がベスト3。懐かしく思い起こす人も多いでしょう。
春の夜。ぼんやりと浮かぶ朧月。霧や靄などに包まれてほのかにかすんで見えます。春の宵を抒情的に歌ったのが「朧月夜」。高野辰之作詞、岡野貞一作曲の文部省唱歌の傑作です。大正3年(1914)の尋常小学唱歌6学年に掲載されて以来、110年以上を経た今も歌い継がれています。
菜の花畠に 入日薄れ
見わたす山の端 霞ふかし
春風そよふく 空を見れば
夕月かかりて 匂い淡し
気品のある歌詞と四分の三拍子の優美さをもつ曲の調べが際立ちます。口ずさめば情景が広がります。名曲たるゆえんです。
20日は彼岸の中日。春の陽気に包まれて周南市児玉町一帯で「第1回こだまアートストリート」が催されました。一本の道をアートで結んでまち歩きを楽しむ新しい芸術祭。障害者が社会と関わりを持つ場をつくろうと、一般社団法人七福や周南青年会議所などでつくる実行委員会が企画。児玉神社と児玉源太郎顕彰会が特別協力して児玉源太郎クイズなどで盛り上げました。
通り沿いの本丁蔵部、こだまテラス、徳山保健センターなどに障害がある人の多彩なアート作品が展示されました。児玉神社境内には400枚のアート絵馬も。縁日の雰囲気もあって約千人が7会場をめぐって楽しみました。障害者の創作を支援する七福の活動が企業の協賛を得て広がります。みんなが支え合って心豊かな共生社会をめざします。笑顔あふれるこだまアートストリートが街を変えます。
