コラム・エッセイ
又 水無月(一)
随想 季節の中で 西﨑博史(周南文化協会会長)麦秋。ばくしゅう。言葉の響きが素敵です。麦の穂がたわわに実り、黄金色に広がる麦畑。夕暮れ時、山の端から月が昇り、美しい光景を見せてくれます。麦の刈入れ時を「麦の秋」とは粋な表現です。収穫が終わって田植えをする農家もあります。社会科の授業で二毛作と習いました。麦と米。日本の食生活を支えてきました。
暦は6月。すでに水辺では蛍が飛び交い、庭先の紫陽花も色をつけ始めました。紫陽花には雨が似合います。いよいよ梅雨の季節です。雨が降らなくても水の匂いを感じることがあります。俳人は多くの句を残しています。
麦の秋さもなき雨にぬれにけり
短か夜の明けゆく水の匂ひかな
久保田万太郎
紫陽花の藍をつくして了りけり
安住 敦
児玉源太郎顕彰会を発足させて10年。5月30日に遠石会館で設立10周年を祝う会を催しました。会員を中心として出席者91人。来賓として衆議院議員の岸信千世さん、山口県知事の村岡嗣政さん、周南市長の藤井律子さんらを迎えて盛り上がりました。祝う会に先立ち、令和8年度総会も開催、会長は2代目の山下武右さん(山下内科医院院長)から3代目の宮本治郎さん(トクビル代表取締役)に引き継がれました。次世代へのバトンタッチに感慨一入です。
振り返れば10年前の6月9日。周南市文化会館での設立総会で初代会長の小川亮さん(元徳山市長)が万感の思いで挨拶されたことを昨日のことのように思い起こします。平成から令和と改元された折に小川さんから山下さんへ受け継がれ、以来7年。私は設立時から事務局長として毎週のように会長にお会いしてきました。会議資料や開催通知、会報『藤園』やニュースレター『本丁通信』などの原稿も事前にお見せして情報を共有してきました。お二人から構想力や先を見通す力、組織のマネジメント論を学びました。
私利私欲のない「無私の精神」。児玉源太郎55年の生涯は「公」に生きるというパブリックの精神で貫かれています。この精神が顕彰会の活動を支えています。補助金や助成金に依存せず自らが資金を調達、学びと実践によって大きな力を発揮してきました。
宮本治郎新会長の下、いよいよ第3章の旅が始まります。源太郎の精神に基づいた活動をさらに広げて未来へと希望をつなぎます。
この随想で100回を数えます。ご愛読に感謝します。
