2026年06月26日(金)

コラム・エッセイ

「しっかり聞いて」

翠流

▼県県史編さん室発行の「山口県史研究第27号」に西山一郎氏の論文「二井県政下の山口県の行財政」が掲載されていた。二井関成氏は1996年から4期16年間、知事を務めたが、バブル崩壊後、財源不足に悩まされながらも「しっかり聞いて、しっかり実行」のスローガンを掲げ「住みよさ日本一元気県づくり」を目指し、山口きらら博を「ホップ」、国民文化祭を「ステップ」、山口国体を「ジャンプ」と位置付けて地域力、県民力を高めた。

▼しかし県民は「住み良い県」と感じるようにはなったが、暮らし向きをよくする経済発展や人口増には結びつかなかった。論文はこの過程を財政指標や県議会での論戦でたどっている。

▼政策として正しくても外部の状況によっては十分な成果を上げるまでに行かない場合もある。二井県政は県民の満足度向上を目指し、目標はあるていど達成した。しかしバブル崩壊後の日本は「空白の20年」を耐え忍ばなければならなかった。その間に中国などが経済力を増大させ、日本の地位は相対的に低下。県経済を支えてきた重厚長大型の産業は海外との競争にさらされることになった。そして今も人口減少対策、新産業の育成は県の最大の課題となっている。

▼周南市では県議として当時の二井知事と論戦を展開した藤井律子氏が間もなく市長に就任する。「しっかり聞き、しっかり実行」が求められるが、行政だけでできることは限られる。同時に「しっかり知らせ」も入れ、施策を地域力向上に結びつけてほしい。

(延安)

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