2026年06月26日(金)

コラム・エッセイ

戦争と表現

翠流

▼終戦から73年。戦後生まれの世代には当時を描いた映画などを見た時に思い起こすだけの遠い存在かもしれない戦争の災禍が、大きく深く現在も影響を残していることを、最近の周南市美術博物館の展示から感じる。

▼林忠彦記念室の「生誕100年林忠彦の仕事Ⅰ〜ドキュメンタリー」は戦中に撮られたものと、戦後の「カストリ時代」シリーズの焼け跡の子どもやたくましく生きる人たちの姿を伝える作品を展示している。

▼コレクション展示室の新収蔵品展では、まず目に入るのが宮崎進さんのミクストメディアの大作「アムール」。1988年と89年の制作だが、日本美術学校油絵科を繰り上げ卒業して42年に入隊、終戦後のシベリア抑留体験から生まれた作品であることがタイトルからも推測される。

▼「自画像」「静物」などの久保克彦は戦没画学生。東京美術学校工芸科図案部を42年9月に繰り上げ卒業して陸軍に入り、才能を開花させる機会もないまま、44年4月に中国で戦死した。

▼そして11日からは藤岡亜弥さんの第27回林忠彦賞受賞記念展「川はゆく」が始まる。撮影地は広島。原爆ドームや被爆後の爆心地周辺のジオラマ(模型)もある。選考委員の大石芳野さんは総評で「自分で歩きながら広島を感じ、その感じたものを写真に撮る」様子が伝わって、市民の生活感をにじませながら「あの8月6日の広島も浮かび上がらせている」と記している。

▼20日までの同展の会期中は常設展も無料。併せて見てほしい。

(延安)

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